長期欠席の地方議員に報酬を満額支給…都道府県と20政令市の51議会

地方議員が長期にわたって欠席した場合、議員報酬を不支給にしたり、減額したりする条例を設けているのは47都道府県と20政令市の67議会のうち、16議会にとどまることが読売新聞の調査でわかった。残る51議会は全額を支給する仕組みとしており、専門家は「欠席した期間の報酬は減額できる条例を設けておくべきだ」と改善を求めている。(小栗靖彦、真崎公美)
都議欠席で問題化

地方自治法では、長期欠席議員への報酬に関する直接の規定はなく、支給の是非を巡っては様々な意見がある。昨年7月の東京都議選後、無免許運転を繰り返していたことが発覚した女性都議(辞職)が11月まで欠席しながら、当時月額約82万円の報酬を満額受け取っていたとして批判が相次いだ。
これを受け、読売新聞は67都道府県・政令市の議会事務局にアンケートを実施した。今年5月時点で長期欠席者の報酬を減額か不支給とする条例を制定していたのは、秋田や大阪など12都府県と、札幌や北九州など4市だった。
また、2019年度以降、1か月以上にわたって欠席した事例があった議会は24府県市(42件)あった。このうち7県市は条例を設けているが、欠席期間の要件を満たしていなかったり、条例制定前の事案だったりしたため、適用例はなかった。
東京都は今年3月、年4回ある定例会で開会日から閉会日まで全ての本会議、委員会を欠席した議員を対象に、翌月以降の報酬やボーナスを支払わないとした条例改正案を可決した。
「抜け道」

条例を設けている16議会のうち、大阪府、奈良県、大阪市、堺市の4議会は前都議への批判が高まった後、制度化した。大阪府では昨年12月、「長期欠席議員は職責を果たしていない」として、都と同様の条例案を可決した。
ただし、条例の内容は16議会で差がある。削減幅では「不支給」が8都府県市、「2分の1」が6県、札幌市は3割、北九州市は休んだ期間で2割または5割を減額する規定だった。
「長期」の定義は「1年以上」(札幌市)や「1年間」(鳥取県)、「正当な事由がなく議会の招集に応じない」(鹿児島県)などと議会ごとに異なった。条例の定める期間中、1日でも出席すれば満額支給に戻り、「抜け道があり、完璧な制度ではない」(大阪府議)との声もある。
除外規定

16議会のうち、14議会は欠席理由を考慮に入れており、新型コロナウイルスを含む感染症法に基づく疾病や産休などは「社会通念上やむを得ない」として、減額や不支給の対象外としていた。新潟、大分両県はこうした除外規定がなかった。
昨年の都道府県議の月額報酬平均は約82万円、政令市議は約81万円。ボーナスを加えれば年収1000万円超の議会は少なくない。ある政令市議は「病気であっても、欠席を続けて報酬を満額受け取ることには市民から批判がありそうだ。何らかのルールは必要」と話す。
東北大の河村和徳准教授(政治学)の話「長期欠席はどの議会でも起きうる話で、質問や採決など民意反映のために活動できなくなる期間の報酬を減額する条例は設けておくべきだ。自宅などからリモートで委員会に出席できる仕組みを整え、議員の発言機会を確保する取り組みも必要になる」