福井・記録的大雨1カ月 13河川で被害、養殖イワナ全滅も

8月4日から5日にかけて福井県内を襲った記録的大雨から1カ月が経過した。人的被害は確認されていないものの、田畑の冠水や林道への土砂流入などが発生し、関係者に深刻な影響を与えている。勝山市では山あいの集落でイワナ養殖場の魚が全滅するなどの被害が出ており、いまだに復旧のめどはたっていない。
福井県のまとめによると、8月上旬の大雨で勝山市の暮見(くれみ)川護岸が損壊し、南越前町南今庄では鹿蒜(かひる)川の護岸が崩壊。13河川の326カ所で家屋・田畑の浸水被害や堤防被害が発生した。床上・床下浸水は計258棟に達し、南越前町で172棟、勝山市で49棟あった。南越前町では7棟が全壊、同町と大野市、勝山市で計72棟が半壊した。
農業用施設関係では農地への土砂流入など840カ所で被害があり、被害額は42億円。林業関係でも林道や作業道で倒木やのり面の崩壊が757カ所で起こるなど、39億円の被害となった。県は引き続き調査を続ける。
水産施設も打撃を受けた。県のまとめでは、勝山市の養殖施設で水槽へ土砂が流れ込むなどし、ヤマメやアマゴ、ニジマス、イワナ計約14万匹が死んだ。同市北谷町谷の「谷淡水魚生産組合」では、養殖していたイワナ約3万匹が流されて全滅。組合長の広田志津雄さん(72)は「8月4日の午前9時ごろ、あまりに雨がすごかったので避難した。2時間後に戻るといけすに土砂が押し寄せていた」と振り返る。いけすのそばにあった幅約2メートルの小川は土石流で塞がれ、10あるいけすのうち一つは擁壁が壊れ、使用出来なくなった。いけすに水を流すための水門も流されて消えていた。
県内の飲食店や宿泊施設から入っていた注文は全てキャンセルし、損害額は約300万円という。事業再開のめどは立っていない。「魚の親を育てて卵を採り、子を育てるので事業を復活させるには最低でも2年はかかる。それでも、残っているいけすで何とかまた始めたい」と話した。
勝山市と南越前町では8月、災害ボランティアセンターが設置され、計約4800人が参加した。同センターは閉鎖したが、南越前町保健福祉課は「まだ片付けが終わっていない家があり、人手が足りていない」と話す。9月19日までの土日祝を集中活動日と位置づけ、引き続き、浸水被害を受けた家屋の片付けなどを手伝うボランティアを募集している。受け付けは南越前町復旧ボランティアセンター(080・6879・9575、平日午前8時半~午後4時)。【国本ようこ】