早朝の混み合う電車内で痴漢の様子をとらえた15秒の動画が、容疑者逮捕の決定的証拠となった。
7月15日午前7時ごろ、京都府宇治市に住む衣料品販売員の長尾魁人さん(18)は、友人と遊んだ帰りに京阪淀屋橋駅(大阪市)から出町柳行きの電車に乗車していた。途中で乗ってきた男(31)が、長尾さんの正面の座席で眠る女性(25)の横に座ると、おもむろに女性の太ももに手を置いて触り始めた。途中で女性が動くと手を引っ込め、再び触る-の繰り返しで行為は約15分間にも及んだ。「距離も異常に近く、明らかに触っていた」。長尾さんは、とっさにスマートフォンで15秒間動画を撮影した。
「何してんの」。丹波橋駅(京都市伏見区)に到着した際、長尾さんが声をかけると、男は突然立ち上がり「触っていないです」などと言いながら逃げようとしたため、長尾さんは男のかばんをつかんで確保。被害にあった女性も起こし、同駅の駅員室へ向かった。
男は否定していたが、動画が決め手となり、駆け付けた伏見署員に府迷惑防止条例違反容疑で現行犯逮捕された。男は大阪府四條畷市の会社員で、京都市内に通勤途中だったという。
8月、伏見署から感謝状を受けた長尾さんは「容疑者に声をかけることに不安はなかった」と話し、西山亮二署長は「動画を撮って痴漢の証拠を残す事例は少ない。非常に冷静に対応してもらい、ありがたい」とたたえた。