福岡県篠栗(ささぐり)町で2020年4月に碇翔士郎(いかり・しょうじろう)ちゃん(当時5歳)が十分な食事を与えられず餓死した事件を巡り、翔士郎ちゃんの母親の「ママ友」で保護責任者遺棄致死罪などに問われた赤堀恵美子被告(49)に対する裁判員裁判の公判は7日、福岡地裁(冨田敦史裁判長)で被告人質問があった。
赤堀被告は、検察側の証人として出廷して食事制限を指示されたなどと話した母親の証言について、全てうそだと強調した上で「私のせいにしたいのでは」と非難。赤堀被告は翔士郎ちゃんが亡くなる約20日前、裸の体を見たといい「すごく小さくなって細かったので、ショックでした」と涙声で振り返った。
公判で母親の碇利恵被告(40)=同罪で有罪判決を受け控訴中=は、赤堀被告のうそを信じ込んで生活費など計約1300万円を渡し、子供たちへの食事も制限するよう指示を受けたなどと説明していた。赤堀被告は詐欺と窃盗の罪にも問われているが、いずれも無罪を主張している。
被告人質問で赤堀被告は、翔士郎ちゃんが亡くなる前、病院に連れて行くよう碇被告に促したと主張。「私がしゃしゃり出て連れて行くわけにいかなかった。もっと強く言うべきだった。翔士郎に申し訳ない」と述べた。一方、碇被告は、赤堀被告から病院に行くのを止められていたという趣旨の、正反対の証言をしていた。
また、翔士郎ちゃんの死後、赤堀被告から「証拠消せ」とスマートフォンの処分を指示されたという碇被告の証言について、赤堀被告は「指示していない。(碇被告から)携帯は捨てたと聞いた」と否定。碇被告から「警察の捜索が入るから預かって」と書類などが入った紙袋を預かったが、中身は分からなかったなどと主張した。
これに対し、検察側は反対尋問で、赤堀被告の公判での話と捜査段階の供述が矛盾していると指摘。赤堀被告は「後で間違いと気づいたが、特に聞かれなかったので、訂正の必要がないと思った」と反論した。
また検察側は、赤堀被告が借金を抱えながらも18~20年、美容院へ50回通って約80万円を使っていたほか、大阪市の「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」(USJ)や大分・別府温泉などに10回ほど家族旅行をしていたと説明。これに対し、赤堀被告は「タンス預金をしていた」と述べた。
この日は翔士郎ちゃんの祖母に当たる、碇被告の母親も意見陳述し「どうして翔ちゃんは死んで、赤堀(被告)はうそをついて生きているのか。翔を返してください。それができないなら、うそはやめてください」と声を詰まらせた。
8日は論告求刑が予定され、結審する見通し。【平塚雄太】