「ウクライナも悪い」「野良犬」 パワハラ被害ウクライナ女性が提訴

ヘリ運航会社「アカギヘリコプター」(東京都江東区)の奈良基地(奈良市)に勤めていたウクライナ人女性(27)が9日、上司のパワーハラスメントでうつ状態になったのにその後も対策を講じてもらえなかった、として同社を相手取り550万円の損害賠償を求める訴訟を奈良地裁に起こした。上司はロシアによるウクライナ侵攻に関して「ウクライナも悪い」といった発言もしたといい、女性側は「甚だしい人権侵害があった」と訴えている。
訴状などによると、奈良県在住の女性は2018年から1年更新の雇用契約を結び、奈良基地整備課で勤務。海外との取引を含む資材調達などを担当していた。
女性は20年1月以降、上司に当たる品質管理担当課長の男性からパワハラを受けていたと主張。勤務態度などを巡り「まるで野良犬や、気持ち悪い」「ゴミに見えるこいつ」などと罵倒されたとしている。
また、22年2月にウクライナ侵攻が始まり、ロシア関連の仕事は避けたいと会社側に説明していた。一方で男性課長は「ロシアの仕事はしないなどと発言する、仕事を選ぶ人間」とのメールを女性や同僚に送ったり「ウクライナも悪い」などと発言したりしたと訴えている。
女性によると、ウクライナでは22年3月から、労働も含めてロシアの利益となる行為が反逆罪とされ、帰国時に懲役15年以上の刑を科せられる場合がある。
女性側は男性課長の一連の発言で、21年5月にうつ状態と診断されたのに、上司の配置転換などが行われず「日常的なパワハラを防止しなかった会社には安全配慮義務違反がある」としている。また、パワハラを代理人弁護士に相談するなどした結果、22年6月に会社に雇用契約の更新を拒まれたとし、8月には地位保全などを求める仮処分も奈良地裁に申し立てている。
アカギヘリコプターは「弁護士に対応を任せている」としている。【川畑岳志、吉川雄飛】