東京メトロ硫酸事件 26歳被告、起訴内容認める 東京地裁初公判

東京メトロ南北線白金高輪駅(東京都港区)で2021年8月、知人男性(23)に硫酸をかけて重傷を負わせたとして、傷害罪などに問われた花森弘卓(ひろたか)被告(26)は20日、東京地裁(野村賢裁判長)で開かれた初公判で、「間違いないです」と起訴内容を認めた。検察側は冒頭陳述で、被告が後輩の男性から軽んじられていると思い込み事件を起こしたと指摘した。
起訴状などによると、花森被告は21年8月24日午後9時5分ごろ、白金高輪駅の地下2階から地下1階に向かう上りエスカレーターに乗っていた男性に対し、追い抜きざまに硫酸をかけ、両目の角膜損傷のほか、顔や肩にやけどなどを負わせたとされる。
検察側は冒頭陳述で、花森被告と男性は沖縄県の大学で同じ映画研究会に所属し被告が先輩の立場だったが、被告は別の大学に編入後の20年9月に「先輩後輩の節度を乱さないでください」などのメッセージを男性に送ったと指摘。大学の卒業生の就職先リストから男性の勤務先を割り出し、事件の1カ月ほど前から会社の前で待ち伏せして機会をうかがったとした。
検察側は「(大学時代に)被告を『いじった』かもしれないが、硫酸をかけられるのは理不尽でやりきれない」とする男性の供述調書を読み上げた。また、被告が21年4月に男性とは別の後輩にも「(大学時代の)態度が悪かった」などと因縁を付け、顔を殴るなどした状況も明らかにした。
一方、弁護側は「被告は被害者から性格や容姿をからかわれることがあり、追い込みをかけられていると感じていた。被告は自分がした行為と結果について責任を取らなければいけないと考えている」と述べ、起訴内容を争わない方針を示した。【志村一也】