山口・阿武町誤給付訴訟で和解成立 被告が町と町民に謝罪

山口県阿武町が新型コロナウイルス対策の臨時特別給付金4630万円(463世帯分)を誤って1世帯に振り込んだ問題を巡り、町が振込先の田口翔被告(24)=電子計算機使用詐欺罪で起訴=に誤給付分の全額返還などを求めた訴訟は22日、山口地裁萩支部で和解が成立した。同支部が提示した和解条項に基づき、田口被告側は町と町民に迷惑を掛けたとして謝罪し、解決金約340万円を町に支払う。
誤給付分は既に全額回収されている。田口被告の代理人弁護士は「本人は反省しており、謝罪の意を示せたのは良かった」と述べた。花田憲彦町長は「ご迷惑とご心配をお掛けした町民と全ての方々に改めておわびし、再発防止に努力する」とのコメントを出した。
田口被告は、誤給付と知りながら別の口座に振り替えて利益を得たとして起訴されており、初公判は山口地裁で10月5日に開かれる。弁護側は事実関係は認めた上で、被告の行為が同罪の構成要件を満たさないとして無罪を主張する方針。【近藤聡司】