参院選中に銃撃され死去した安倍晋三元首相の国葬反対運動が盛んだ。21日には東京都千代田区霞が関の路上で70代男性が国葬反対の意思を示して焼身自殺を図り、海外メディアにも大きく取り上げられた。国葬反対運動は連日のように日本各地で行われているが、参加者は焼身自殺をどう思う?
騒ぎが起きたのは首相官邸も近い霞が関の路上。男性は自ら油をかぶって火をつけたという。周囲には「私個人は断固反対」と国葬に反対する言葉を書いた紙が落ちていた。男性は全身にやけどを負ったものの、意識はあるとのことだ。
国葬に対して毎日のように日本のどこかで反対集会が行われている。報道各社の世論調査でも、おおむね過半数が反対で、岸田内閣の支持率を下げる要因になっている。この日も都内で国葬反対集会が複数行われていた。
自らに火をつけてまで国葬に反対する気持ちは共感できるのか。都内某所で反対の声を上げていた男性は「僕らも国葬に反対しているが、死ぬなんて考えられない。国葬が終わった後も声を上げ続けていかないといけないんだから」と首をかしげた。
「国葬反対だけでは死ねないと思うんですよ。焼身自殺のニュースを聞いて思ったのは、山上徹也容疑者と同じなんじゃないかなって。山上容疑者は母親が旧統一教会に寄付して経済的にも追い詰められていたでしょう。そうした国葬反対だけじゃない事情があったんじゃないか」(前出の男性)
安倍氏を殺害した山上容疑者は一部報道によると100万円以上の借金があったといい、経済的に切羽詰まっていた事情もあった。焼身自殺を図った男性にも国葬反対以外の思いがあったかもしれないというわけだ。
また、渋谷・ハチ公前で反対活動をしていた男性は「痛ましいですよね。国が国民に国葬の意味を伝えていない、そのしわ寄せが出たということです。国が国葬をするから起きた“犠牲”といえるでしょう」と岸田内閣の決定のせいだと指摘した。
実は焼身自殺は過去にもある。シンガー・ソングライターの七尾旅人は21日に「安倍元首相に由来する焼身自殺は今回が初めてではない。3件目。どれも抗議としてなされた」とツイートした。
2014年6月に新宿駅前で集団的自衛権反対を訴えていた男性が焼身自殺を図ったことがあった。同年11月にも日比谷公園で焼身自殺があり、集団的自衛権の行使容認に反対する抗議文があったという。安倍政権が進めていた政策への抗議の意味が込められていたとみられる。
いくら国葬反対でも焼身自殺まで図るのはレアケースとはいえ、国葬が行われる27日当日も何が起きる分からない。