社説[シイタケ産地偽装]県民の信頼裏切る不正

県産と信じて手に取った消費者を裏切る行為だ。
恩納村の「沖縄しいたけ田中」が、宮崎県で収穫したシイタケを沖縄県産と偽って販売していたことが、本紙の取材で明らかになった。
受注に生産が追い付かず、宮崎県で収穫したシイタケを同県にある系列会社から段ボールで送り、恩納村から「沖縄県産」として出荷していた。
同社の社長は「(受注した分の)穴をあけられないという思いでやってしまった」と偽装を認めている。
月の売り上げは700万~800万円で、多い時は8~9割が産地偽装した商品だった。
少なくとも2年前から1年間、偽装を続けていた。
不正競争防止法や景品表示法に違反する可能性がある。
消費者をだます行為で、決して許されない。
近年、身近な場所から新鮮な農産物を得る「地産地消」の意識が高まっている。購入するときは必ず産地を確かめてから、という消費者も少なくないはずだ。地元生産者を応援したい、と手に取る客もいるだろう。
購入する際、消費者は産地表示を信じるしかない。正しい表示は大前提である。それがうそならば、何を信じればいいのか。
同社の商品は、恩納村のふるさと納税返礼品にも使われていた。偽装は、沖縄ブランドの名にも傷を付けた。
県警や県には、実態の徹底解明を求めたい。
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シイタケは中身汁やイナムドゥチなど沖縄料理に欠かせず、県民になじみが深い。乾燥シイタケの年間消費量は全国でもトップクラスだ。
自給率が低かった県産生シイタケだが、近年、生産量と販売量が増加している。2019年には前年の2倍超に増えた。同社が県内に進出した時期と重なる。
生産関係者によると、同社は小売店に卸す量に比べ生産現場の面積が狭く、以前から疑念を持たれていたという。
無理な販路拡大が、偽装を招いたのではないか。
同社社長によると、シイタケの菌床を県内で生産しようとしたがうまくいかず、宮崎の菌床を使って沖縄で生産していた。発注量が増えたため、宮崎で収穫したものを沖縄県産として販売した。
失敗をうそで補おうとしたなら言語道断だ。真面目に努力を続ける沖縄の生産者にしわ寄せがいくことを懸念する。
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実態解明とともに重要なのは再発防止策だ。
消費者庁は10月から生シイタケの産地表示を厳格化する。食品表示基準を改定し、収穫地を原産地としていたルールを改め、菌を植え付けた場所を原産地と表示することを義務付ける。
これまで輸入菌床から収穫しても国産と表示できていたが、消費者が誤解せず商品を選べるよう見直した。
産地情報への関心は高く、消費者が判断できる表示は必要不可欠だ。国には、産地が適正に表示されているか消費者がチェックできる体制もしっかりと整えてほしい。