「三権の長たる議長として、ご自身の判断で適切に対応すべきものだ」
旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の関連会合に4回出席したことを認めるコメントを文書で発表した細田博之衆院議長について記者団に問われ、こうノラリクラリはぐらかした岸田文雄首相。細田氏が立法府の衆議院議長の立場であるため、三権分立の観点から、党総裁としてはもちろん、総理大臣といえども踏み込めない──と言いたかったのだろう。
SNSでは、《自民党議員として選挙で当選しているのだから、総裁として、もっと説明責任を果たすよう言うべき》、《岸田さんはおそらく、党最大派閥安倍派の前身である細田派を率いていた細田さんを追い込むことを避けているのだろう》といった声が上がった。
三権分立とは言わずもがな、国会、内閣、裁判所がそれぞれ独立して「立法権」「行政権」「司法権」を担うことだ。権力集中による独裁を避けるための近代民主主義政治の根幹であり、岸田首相の発言はある意味、当然と言えるのだが、第二次安倍政権以降はその原則が厳格に守られてきたのかと言えば、そうは言い難いのではないか。
■「最高責任者は私」と言った安倍元首相
例えば安倍政権下で決まった集団的自衛権の行使容認。当時の安倍晋三首相は、行使を認める憲法解釈の変更に関し、閣議決定前の国会審議に否定的な見方を示した上、さらに国会でも「最高責任者は私」などと発言。野党などから「三権分立をないがしろにするな」と声が上がった。
安倍氏の国葬で友人代表として弔辞を読んだ菅義偉前首相も、2020年10月の衆院本会議の代表質問で答弁に立った際、大島理森衆院議長(当時)を振り返り、議場の野党議員らに注意を求めるようなしぐさをしたため、「行政府の長が立法府の長に指示する異常」などと議場が大騒ぎになった。
こうした経緯があるからだろう。ネット上でも、《都合のいい時だけ原理原則を言うな》、《これぞご都合主義の自民党》、《三権分立を壊してきたのは他ならぬ自民党政権だ》といった指摘が出ている。