2019年の参院選広島選挙区を巡る大規模買収事件で、河井克行元法相(59)=実刑確定=から現金30万円を受け取ったとする公職選挙法違反(被買収)の罪に問われ、略式命令を不服として正式裁判に移行した元広島県議、平本英司被告(49)の初公判が9月30日、広島地裁福山支部(松田克之裁判長)であった。平本被告は起訴内容を認めた上で、略式命令で5年とされた公民権停止期間の短縮を求めた。
被買収で裁判となった地方議員ら12人のうち2人目の公判。弁護人は「処分までの日時の異例な経過がある。公民権停止を短縮しないのは不当」と述べた。
検察側は冒頭陳述で受け取った30万円について平本被告が政治資金収支報告書に記載しなかったことなどを指摘した。
被告人質問で平本被告は、現金について「県議選当選のお祝いだと思った」とし、すぐに返金しなかったことについては「険悪なムードになったら直接要望ができなくなり、地元のことを考えると返せなかった」と述べた。収支報告書に記載しなかったことについては「報告書を公開した時に県連の関係者から『仲間を裏切った』と思われるのが嫌だった」とした。
検察の取り調べで被買収の認識を認める供述をしたことについて「取り調べの中でストーリーができ上がっていた。記憶の自信がなく、あいまいなまま取り調べが進み『調書の通りにならないと帰れない。もういいわ』と思ってサインした。食い違いがあったかもしれない」とも述べた。
公民権停止期間の短縮を求める理由について「もう一度5年後の選挙にチャレンジしたい。西日本豪雨(18年7月)からの復興やまちづくりに取り組むためには県議に戻らなければならない。チャレンジして地域の方にお返ししたい」と意欲を見せた。
平本被告は検審議決公表後の22年2月に県議を辞職。略式起訴され簡裁から罰金15万円、追徴金30万円の略式命令を受け、公民権停止5年とされたが、命令を不服とし正式裁判を申し立てた。他に2人が略式命令を不服とし正式裁判に移行した。
起訴状などによると、平本被告は、河井氏の妻案里氏(49)=有罪確定=への投票取りまとめに対する報酬として19年4月に30万円を受け取ったとされる。【根本佳奈、岩本一希、関東晋慈】