戦うことは「悪」ですか 先人たちは誰のために死にに行ったのか リアルな特攻映像…見る者に衝撃 戦後日本の平和を守ってくれたものの「正体」

特攻隊の基地、鹿児島県・知覧で食堂を営み、特攻隊員から母のように慕われた鳥濱トメさん。「(彼女から伝えられた)隊員たちの真実の声、姿を残しておきたい」と、作家で元都知事の石原慎太郎氏が原作を書いた『俺は、君のためにこそ死にに行く』が9月、劇団夜想会によって7年ぶりに俳優座劇場で上演された。
同会を主宰する野伏翔(のぶし・しょう)氏は「わが国を取り巻く環境が7年前とは比較にならない程の軍事的緊張の中にあり、戦争が身近な問題となってきている」ため、どうしても今年再演したかったという。そうした社会的背景も影響してか、公演は連日満席となった。
特攻隊として散華されたのは、20歳そこそこの若者たちだ。年相応の悩み、苦しみ、そして喜びを内に秘めながら散った彼らの死は、果たして、戦後言われ続けてきたように「犬死に」だったのか。自ら肉弾となって敵艦に突っ込む「必死」の作戦は、連合国軍の心胆を寒からしめた。
劇中上映されるリアルな特攻映像は、初めて見る者には衝撃的であろう。何度も目にしている私でも、涙を禁じ得ない。実際に、観劇後のアンケートにも「衝撃を受けた」というコメントが多数寄せられたという。
これまで筆者は、パラオやサイパンを戦跡・慰霊の旅で訪れてきた。それぞれの地で確信したのは、戦後の日本の平和を守ってくれたものの「正体」であった。
戦後日本の平和を守ったのは、戦争放棄をうたった憲法9条でもなく、いわゆる保守層の多くが頼りにしている日米同盟でもない。敵国であった米国をして、「こんな人間業とは思えない戦いぶりをする日本軍とは金輪際戦いたくない」と思わしめた、日本軍将兵たちの戦いぶりであり、その精神であったのだと。
だからこそ、戦後の占領軍は「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」(WGIP=日本人に戦争についての罪悪感を与えるための洗脳工作)を行い、日本人に軍や戦争に対する徹底的な忌避感を醸成した。残念ながら、その工作は見事に功を奏し、「戦うこと」はすなわち「悪」であるという価値観が蔓延(まんえん)した。
1981年から行われている「世界価値観調査」の最新の結果によれば、「国のために戦いますか?」との問いに、「はい」と答えた日本人は13%と、調査対象の79カ国中ぶっちぎりの最低だ。
安全保障環境がこれまでにない厳しさを増してきた今、こんな寝ぼけた日本人のままでは日本は日本でなくなる。今般のロシアによるウクライナ侵攻で、そのことにこそわれわれは気づき、目覚めねばなるまい。
先人たちは、「私たちを」守るためにこそ死にに行ってくださった。まずは、その事実を認識し、先人たちへの感謝を捧げ、次世代の日本と日本人を守るために、今度は今を生きる私たちが「戦う気概」を取り戻そうではないか。 =おわり
■葛城奈海(かつらぎ・なみ) 防人と歩む会会長、皇統を守る国民連合の会会長、ジャーナリスト、俳優。1970年、東京都生まれ。東京大農学部卒。自然環境問題・安全保障問題に取り組む。予備役ブルーリボンの会幹事長。著書・共著に『国防女子が行く』(ビジネス社)、『大東亜戦争 失われた真実』(ハート出版)、『戦うことは「悪」ですか』(扶桑社)。