SNSで知り合った外国人男性に恋愛感情を抱き、頼まれるままにコカインを密輸入したとして、麻薬取締法違反(営利目的輸入)と関税法違反に問われた東京都練馬区、会社役員の女(59)に対する公判が6日、千葉地裁であった。中尾佳久裁判長は、懲役6年、罰金200万円(求刑・懲役10年、罰金400万円)の実刑判決を言い渡した。女は密輸入の前、男性に1000万円以上を貢いでいた。
判決などによると、女は4月15日、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイからエチオピアを経由して成田空港に到着した際、児童向けの大型本2冊の表紙裏にコカイン約2キロ・グラム(末端価格約4000万円)を隠して密輸入した。
女は昨年6月頃、マッチングアプリを通じて自称米国人で「ノーランド」と名乗る男性と知り合った。連絡を取るうち好意を抱き、同10月頃、結婚を申し込まれて承諾した。
直接会ったことはなかったが、男性から銀行口座への振り込みや仮想通貨の送金を依頼され、計1000万円以上を送金。今年3月末にはドバイに渡り、男性に代わって文書に署名する用事を頼まれた。
「ノーランドと会えるかもしれない」。そう考えた女がドバイへ渡ると、見知らぬ外国人女性から、見た目が不自然な本を手渡された。女は、違法薬物かと疑念を抱き、男性にメールで問いただした。「手伝えないなら自分に構わないで」と言われ、結局、密輸入に手を染めた。
公判では、本の中身が違法薬物かという認識の有無は争われず、営利目的の密輸入かが争われた。判決では、「ノーランドに利益を得させようという動機で犯行に及んだ」と営利目的を認定し、弁護側の主張を退けた。
中尾裁判長は「自分本位の動機だ」と非難した上で、「好意を薬物犯罪組織に利用され、密輸に加担させられている経緯は相応に
斟酌
(しんしゃく)すべきだ」と減軽した理由を述べた。