岡山女児虐待死、児相対応は「放置」 県警「命が心配」伝達 報告書

岡山市で2021年9月、当時5歳だった西田真愛(まお)ちゃんが母親とその交際相手の男性から虐待され、その後死亡した事件で、外部有識者でつくる市児童福祉審議会は11日、検証報告書を大森雅夫市長に提出した。事件の1年前に真愛ちゃんが裸で墓地に立たされていた際、岡山県警が「命が心配」と市児童相談所(児相)に伝えていたことが判明。報告書は「虐待者として疑われた交際男性の存在が警察によって明らかにされた」として、家庭状況などを調べ直す絶好の機会だったと指摘した。
報告書などによると、21年9月、母親の彩被告(34)と交際相手の船橋誠二被告(39)=ともに逮捕監禁致死、強要の罪で起訴=は真愛ちゃんに殴るなどの暴行を加えた上、空の両手鍋の中に長時間立たせるなどした。さらに布団を巻き付けて放置し、真愛ちゃんは22年1月、低酸素脳症で6歳で死亡した。
審議会は医師や弁護士らがメンバー。報告書によると、20年9月、両被告が真愛ちゃんを墓地に裸で立たせて叱責していた際、110番を受けた県警側が児相側に「(交際相手の)男からの報復がある可能性があり命が心配」「(真愛ちゃんのきょうだい)全員を保護してほしい」と伝えていた。だが児相は真愛ちゃんを2週間、一時保護した後、両被告が反省の態度を示したなどとして自宅に帰した。この対応について「きょうだいの意見を十分に聞き取れなかった背景には児相の業務負担が過重で時間をかけて対応するのが難しい事情もあった」として、体制の強化を求めた。
また、この事案後も児相は「軽度の虐待」との判断を変えなかった。事件の1カ月前、児相が家庭訪問した際、真愛ちゃんに会えなかったことについても「親が面接や支援を拒む場合はそのこと自体をリスク要因と認識し、支援方針の見直しが必要だった」と指摘。審議会は児相の一連の対応について「事実上の放置で判断を誤っている」と批判した。
その上で再発防止策として、児相の児童福祉司1人当たりの担当ケース数に上限を設けることや、弁護士、精神科医などの助言を積極的に受ける仕組みの必要性などを挙げた。審議会の検証会議で座長を務めた中原隆志弁護士(岡山弁護士会)はこの日、岡山市内で開いた記者会見で、11年には同市で知的障害のあった女性(当時16歳)が母親から手足をビニールひもでしばられ、風呂場に5時間立たされて、死亡した事件時にも児相の人員拡充などが提言されたことに触れ「2回も同じことを言われたことについて反省してほしい。市は恥ずべきこととして取り組んでほしい」と求めた。【平本泰章】