ニュース裏表 安積明子 立民と維新が突如「共闘」の怪 両党に波紋広がる 大義なき〝数合わせ〟なら国民の離反は不可避

突如として相思相愛になったのか、それとも同床異夢なのか―。にわかに浮上した立憲民主党と日本維新の会の〝共闘〟に困惑が広がっている。
両党は9月21日、臨時国会をめぐり、「旧文書通信交通滞在費」(旧文通費)を改正した「調査研究広報滞在費」の使途公開を定めた法案の成立など6項目で合意、共闘することを決定した。
両党の犬猿の仲は有名だ。維新は、共産党と野党共闘する立憲を「立憲共産党」と罵(ののし)ってきた。国会運営対策で野党間の調整を行う野党国対委員長会談にも参加しない時期があった。
一方の立憲も敵意を隠さない。菅直人元首相は2月、維新を創設した橋下徹氏を引き合いに「弁舌の巧みさで第一次世界大戦で政権を獲ったヒトラーを思い起こす」とツイッターで罵倒した。
激怒した維新の馬場伸幸代表(当時共同代表)が国会内の菅事務所に乗りこみ、舌戦を繰り広げる一幕もあった。
だが今回の「共闘」に際して、立憲民主党の安住淳国対委員長は、維新を「政権奪取のパートナー」とすることを示唆し誇らしげにこう語った。
「両党にとってこの共闘は活路を開き、政権をどう目指していくかということに対して、真剣にそのパートナーになりえるかどうか、考えるきっかけにしていかないといけないと思っている」
波紋は、一気に広がった。まず、維新の大阪府議団ら地方議員たちが大激怒。さっそく日本維新の会の執行部に文書で説明を求め、執行部はその対応に追われた。
立憲も同様だ。尾辻かな子前衆院議員は「大阪市を守るために強大な維新と対峙(たいじ)してきた。立憲はどこに行くのか。これが政治なのか?」と危機感を募らせる。それにも関わらず、両党のトップは連携へと突き進みそうな構えだ。
立憲の泉健太代表は10月5日の国会での代表質問で、「日本維新の会をはじめ、他の野党や良識ある政治家と共闘し、新たな選択肢を示していく」と共闘を匂わした。
維新の馬場氏も「単独で政権政党を目指す方針は変わらないが、プロセスとして(重点政策の)維新八策を実現するチャンスがあれば、是々非々」と含みを残す。
立憲には保守層へウイングを広げて国民民主党を牽制(けんせい)したい思惑がにじむ一方、維新には岸田政権に要所要所で同調できない本音が見える。
「立憲民主党は地方組織がしっかりしており、われわれとは基礎体力が違う。大阪はともかく、『全国展開』となると飲み込まれかねない」。維新の国会議員は、こんな本音も打ち明ける。
両党は安全保障政策などで差異が際立つ。これを乗り越えてなお、共闘する「正義」がなければ節操がない。国民は大義のない数合わせの「政権奪取ごっこ」など、もはや見たくないのだ。 (政治ジャーナリスト 安積明子)