議会は村長不信任、村長は議会を即日解散…どうなる舟橋村議選

富山県舟橋村議選が18日、告示された。村議会は、役場内で横行していたパワハラの責任を追及して古越邦男村長への不信任案を全会一致で可決したが、反発した村長は議会を即日解散。異例の経緯をたどる村議選への舞台裏を探った。(川尻岳宏、敬称略)
「すぐ辞職を」…元後援会長、村長に迫る
9月16日の村役場。議長に村議会の解散を伝えた後、村長室に戻った古越の元にある男性が現れた。扉をノックすることなく部屋に足を踏み入れ、古越と対面するなりこう切り出した。「生き恥をさらすな。すぐに辞職しろ」
男性の名は松田登(74)。村内に本社を置く電子部品製造業「ファインネクス」の会長だ。2代前の村長の義理の息子にあたる。同社は約400人の従業員を抱える大企業で、松田は2年前の村長選では古越の後援会長を務めていた。
「圧力と介入、村政に支障」
古越は9月下旬、村内全戸に後援会便りを配布している。「私の力不足により、有力者の圧力、介入が多くあり、村政活動に支障を来した」。この内容を、村内の関係者は松田との決別宣言ととらえている。
古越は昨年の村議会12月定例会で、2019年から置いていなかった副村長ポストを復活させようとした。念頭にあったのは松田の親族だった。だが、村議会は反発し、提案を拒否。この人物は今年1月から政策参与に就任しているが、給与の支払いを巡って古越と松田は対立したという。
松田は今年6月に古越の後援会長の辞任を表明。今回の不信任案についても賛成をするように村議らと連絡を取り、村政に影響を与え続けた。だが、松田は読売新聞の取材に対し、こう述べている。「もう政治には興味がなくなった」
候補擁立急ぐ

解散当日、古越は「辞めません」と松田を突き放し、村議選に向け自らを支持する候補者の擁立に向けて村内を駆け回っている。選挙後の議会で再び不信任案への賛成が過半数に達して可決されれば失職する。何としても「村長派」の議員を当選させたいとの思いは強い。
だが、12、13日に村役場で行われた立候補者の事前審査には定数と同数の7陣営しか参加しなかった。古越が擁立した陣営はいない。古越は「無投票にならないように一生懸命動いている」と話す。
村議選は過去10回中4回が無投票。様々な思惑が絡み合う中で、村民が論戦に耳を傾ける機会は訪れるだろうか――。
パワハラ放置「認識ない」…村長語る

古越村長=写真=に解散を決断した理由や村議会との関係性について尋ねた。
――村議会で不信任決議案が可決された。
「本来、村長と議会は対等な立場だ。村政の責任は共同で負うべきだろう。議会では何度もパワハラ問題が議論されたが、議会は改善策の提案を一切していない。自分のことを棚に上げ、いきなり不信任案を可決して揚げ足を取るという行動は民主主義に反している」
――不信任案では「村長がパワハラを放置した」と指摘している。
「その認識はない。役場は30人という小さな所帯。

叱咤
(しった)激励しているつもりの行為が、パワハラとして受け止められた部分があった。昔はどこにでもあったことだ」
――議会との関係で反省することはあるか。
「役場勤務が長く、村議とも長い付き合いだったので『言わなくても分かるだろう』と思っていた。対話が不十分だった。議会からすれば『説明が不足している』と映ったのだろう」
――村議選に向けては。
「『議会のやり方はおかしい』という人は結構いる。ただ、急なので立候補をお願いしても断られている。最後まで候補者擁立に向けて努力する。辞職はしない」