立憲民主党の野田佳彦・元首相は25日午後の衆院本会議で、参院選の遊説中に銃撃され死亡した安倍晋三・元首相に対する追悼演説に臨んだ。首相在任中に自民党総裁だった安倍氏との党首討論を振り返り、「火花散らす真剣勝負だった。再戦を挑むべき相手は、もうこの議場には現れない」と故人をしのんだ。
野田氏は民主党政権で首相だった2012年11月、党首討論で自民党総裁の安倍氏に衆院解散を明言。直後の衆院選で敗れ、政権を明け渡した。「いつの時も手ごわい論敵だった。私にとっては、
仇
(かたき)のような政敵だった」と懐かしんだ。
議場で見せた「闘う政治家」の姿も、国会を離れると「心優しい気遣いの人だった」と安倍氏の人柄にも触れた。政権転落直後、皇居での安倍氏の親任式に「前首相」として立ち会った際、安倍氏から「自分は5年で返り咲いた。あなたにも、いずれそういう日がやって来ますよ」とねぎらいの言葉をかけられた逸話も披露した。
首相経験者に対する追悼演説は戦後9回目。野党の党首級が行うのが慣例で、今回の演説は2000年の小渕恵三・元首相に対する社民党の村山富市・元首相以来、22年ぶりとなった。