安倍晋三元首相の国葬に知事らが公費で参列したのは違法として、広島県内の市民や弁護士計12人が26日、湯崎英彦知事と中本隆志県議会議長に関連費用の返還を求める住民訴訟を広島地裁に起こした。参列費用の公金支出差し止めを求めた住民監査請求が9月26日付で棄却されたのを受けた提訴で、弁護団によると棄却を受けた住民訴訟の提訴は全国で初めて。
訴えで原告らは9月27日に開催された安倍元首相の国葬について「法的根拠がない」などと主張。湯崎知事と中本議長が公費で出席したことも違法だとして返還を求めた。参列費用については県が明らかにしていないとし、それぞれ少なくとも30万円以上と推測。60万円の損害を県に与えたとして同額の賠償を求めた。
県は「国の正式行事として案内があり、県として弔意を表すために公務として出席した。公費負担は適切」、県議会事務局は「国の行事で県議会の代表として参加は当然。適切な支出だった」とコメントした。
提訴後、原告らは広島市内で記者会見。原告の一人でもある山田延広弁護団長(広島弁護士会)は国葬について「法的根拠がないのに、国会審議なく内閣が勝手に実施を決め許されない」などと主張した。【根本佳奈】