キムタク信長がついに見参――。「ぎふ信長まつり」の呼び物で俳優の木村拓哉さんが織田信長役で参加した「信長公騎馬武者行列」が6日、岐阜県岐阜市中心部で行われた。待ちに待ったスターの登場に市民らは沸き立ち、まつりには5、6両日の2日間で史上最多の62万人(市発表)が詰めかけた。人出に伴う事故も心配されたが、県警などが警戒し、大きなトラブルはなかった。【太田圭介、酒井志帆、加藤沙波】
午後1時20分ごろ、木村拓哉さんと同市出身の俳優・伊藤英明さんが馬に乗ってパレードコースに登場した。木村さんの「出陣じゃ」の掛け声のもと、2人は鉄砲隊や音楽隊に先導されながら、金華橋通りを北に向かって約1キロ練り歩いた。
観衆に顔を向けたり、扇子でポーズを取ったりするなど、木村さんの一挙手一投足に、沿道からは「かっこいい」の歓声が。周辺ビルの窓や屋上から観覧する人もいた。
30代の友人グループで訪れた本巣市の小野三奈さんは「こんなに岐阜が輝いた日を経験できて、岐阜に住んでいて良かった」と話し、名古屋市西区の孝森由美子さんは「信長になりきり、りりしくて格好よかった。馬を気にかける様子もステキだった」と感動した様子だった。
武者行列の一員として、木村さんの約15メートル前を歩いた市岐阜商3年の川原陽(はる)さん(17)は出発前、木村さんから「きょうはよろしくお願いします」と丁寧にあいさつされたという。木村さんを実際に見て「オーラがすごい」と驚嘆していた。
柳ケ瀬を「聖地」に
市によると2日間で史上最多の62万人が訪れたまつりだが、このうち6日だけで市人口(約40万人)を超える46万人が詰めかけたという。パレードは96万人超の応募の中から当選した1万5000人が、金華橋通り東側車線の観覧エリアで見物する予定だった。しかし多数の観衆が詰めかけた結果、反対の西側車線沿道でも観覧が可能となり、規制が大幅に緩和される形になった。
思わぬ形で観覧できた大津市の女性(39)は「封鎖されていると思ったら沿道に入れた。当選した人には申し訳ないが近くで見られた」と話した。一方、当選し東側沿道で観覧した名古屋市西区の女性(41)は「あまり見えなかった。何のための抽選だったのか」と不満を漏らした。
西側沿道の商店街では、規制を前提に臨時休業する店も多かった。自転車店の荻上邦彦さんは「店舗前に人を入れない約束だったのに話が違う。店の敷地内にも人が入り危ない。市と県警が連携し、きちんと規制をしてほしかった」と困惑した様子だった。
沿道の果実店は、観覧を希望する常連客らに抽選で店内を提供した。大熊伸哉店長は「柳ケ瀬にこんなに人が集まったのを初めて見た。多くの人に岐阜を知ってもらえたし、木村さんがパレードした『聖地』としてまた観光客に来てもらい、柳ケ瀬が元気になれば」と商店街の振興に期待を込めた。
伊藤英明さん「先輩との話が現実に」
行列を終えた木村さんと伊藤さんは、市文化センターで開催されたトークイベントに登場。木村さんが信長を演じ、伊藤さんも共演する映画「THE LEGEND&BUTTERFLY」(来年1月公開予定)をPRした。木村さんは「岐阜の方々には、ホームグラウンドの話だと感じてもらえる映画だと思う」と話した。
行列参加を木村さんに持ち掛けたという伊藤さんは「映画セットの片隅で木村先輩と話したことが現実になった」と感極まった様子で目を潤ませた。
木村さんは5日に岐阜入りし、伊藤さんお勧めの「ベトコンラーメン」を堪能し、金華山にロープウエーで登ったという。木村さんは「信長が見た夜景は、街が現代より暗い分、天守閣から見える星空はすごかったんだろうなと思い感傷的になった」と話した。
また事故などが懸念された行列が無事に終わり、木村さんは「統制が取れた状況で無事に終わることができて本当に良かった」と関係者の尽力に感謝していた。
DJポリス出動、大きな事故なく
県警は韓国の雑踏事故を踏まえ、岐阜市と協力して警備に当たった。「DJポリス」を出動させるなどの対策もあり、大きなトラブルはなく行列を終えた。
行列スタート前には、沿道で警察官が「みんな安全に楽しみましょう」と穏やかに観覧客らに呼び掛けた。市消防本部によると、客の中で転倒したり、気分が悪くなったりする人が出て、6日午後5時までに3人を病院に搬送したが、いずれも重い症状ではないという。
県警は行列終了後の客の帰宅時が最も危険とみて、JR岐阜駅への誘導経路などを設けた。DJポリスが「お帰りなさい」「お疲れ様でした」と呼び掛け、道路や駅構内に警察官らを多数配置して案内に当たった。