大分県日出町出身の会社員、木村啓嗣(ひろつぐ)さん(23)=兵庫県西宮市=が、ヨットによる世界一周の日本人最年少記録を目指している。12日に西宮市のヨットハーバーを出航し、2023年春ごろゴールする予定。【大島透】
行程189日「必ず生きて帰る」
木村さんによると、ヨットによる世界一周を単独、無寄港、無補給で実現した日本人はこれまでに4人おり、最年少記録は白石康次郎さんの26歳10カ月。木村さんはこの記録の更新を目指す。
計画では西宮市を出航後、太平洋を南下して南アメリカ大陸とアフリカ大陸の南端を通過後、オーストラリア東側から北上して帰国する。行程は189日になる見通し。
木村さんは別府翔青高(大分県別府市)ヨット部でヨットと出会った。17年の愛媛国体で15位などの成績を残した後、海上自衛隊の潜水艦の乗組員になり、兵庫県などで勤務した。しかしヨットが忘れられず、1年半後に退官した。20年にはヨットを通じて出会った産業廃棄物処理などの会社「浜田」(大阪府)に入社し、今回は同社の支援で世界一周を目指す。
全長約12メートルのヨットにはアルファ米やレトルト食品、ビタミンなどのサプリメントの他、海水を真水に変える装置も積む。通信用電子機器を動かす太陽光発電機も積み、南半球の満天の星などをSNSを通じてそのつど発信し、地球の雄大さや環境保護の大切さを訴える。ただしヨットの推進力は自然の風だけだ。
町長を表敬、計画報告
10月28日に日出町の本田博文町長を表敬訪問し、世界一周の計画を報告した木村さんは「自然エネルギーだけで地球を一周する夢への挑戦です。たとえ失敗しても必ず生きて帰って来ることを優先したい」と話した。本田町長は「過酷な航海に挑む勇気に敬服する。無事を祈ります」と励ました。