開業医荒らし多発、被害の院長「防犯カメラ8台で万全と思っていた」…夜間無人・レジに現金

個人経営のクリニックなどに侵入して現金を盗む「開業医荒らし」が相次いでいる。今年に入り、滋賀県内での開業医の侵入窃盗被害(未遂含む)は15件に上り、このうち甲賀署管内では10月中旬の2日間で立て続けに3件発生。夜間は無人でレジに現金を置きがち――など開業医特有の形態が狙われている可能性があり、県警が警戒を強めている。
「防犯カメラを8台つけ、万全と思っていただけに、まさか被害に遭うとは……」
10月18日未明、甲賀市内で開業するクリニックで被害に遭った院長が嘆いた。
院長によると午前2時45分頃、何者かが正面の自動ドアをバールのようなものでこじ開けて侵入。受付のレジが壊され、現金数万円が盗まれたほか、院長室内の机の引き出しなども荒らされていた。
警備システムの警報機が作動して警備会社からの連絡で院長も急行。同3時過ぎに到着すると、すでに甲賀署の警察官がいたが、現場に犯人の姿はなかった。
防犯カメラ映像などから容疑者は3人組とみられ、車で駐車場に乗り付けていた。うち2人が現場周辺を物色したり、短時間で院内を荒らしたりしている点など、手口が手慣れている様子だったという。
同署管内では10月18日と20日に、この件を含め、甲賀市内の歯科医院で数十万円が盗まれ、湖南市内の医院も侵入被害に遭っており、同一犯の可能性もある。
県警によると県内では今年、歯科やクリニック、動物病院など開業医を狙った計15件の侵入窃盗被害が出ている。警備員や医療スタッフが常駐する総合病院と違い、夜間が無人で受付のレジに釣り銭用の現金を置いたままにすることのある個人経営の医院などが狙われている可能性がある。
甲賀市は10月下旬、甲賀署の依頼を受け、緊急メールを登録者約5000人に送信。夜間、レジに現金を残さないことや補助錠の設置、自動ドアの持ち上げ防止金具の取り付けなど防犯対策の徹底を呼びかけた。