「正直、今回のいじめは、岩倉と一緒に働いていたことがある元同僚たちにとって全く驚きではありません。事件発覚後には仲間たちと『また、やべーことやってる』って連絡を取り合いましたね」
11月9日、20代同僚男性の下着を無理やり脱がせたうえに、腹部に軽いけがを負わせたとして、強制わいせつ致傷の疑いで「アート引越センター(以下、アート社)」の正社員・岩倉拓弥容疑者(27)と同社アルバイトの森本義洋容疑者(52)ら計4人が逮捕された“同僚いじめ”事件。かつて岩倉容疑者と一緒に汗を流したことがある元同僚はこう感想をもらした。さらに岩倉容疑者は“巨額”金銭トラブルで一度退職した過去もあるようで――。
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元同僚が「“余罪”は他にもありますよ」
事件が起きたのは4月30日未明、江戸川区にある岩倉容疑者の自宅アパートでのことだった。当時、岩倉容疑者や被害者男性らが現場にいたところ、酔った森本容疑者が現れて突然「服を脱げ」と指示を出し、岩倉容疑者が中心となって服を脱がせたという。社会部記者が解説する。
「森本容疑者は『気が乗らないから』という理由で、被害者男性に衣服を脱ぐことを強要したようです。男性は自ら服を脱ぎパンツ1枚の姿になりました。そこに女性の社員が現れると、森本容疑者は『パンツも脱げ』と指示。逮捕された4人で男性の肩を押さえて頭を殴打し、パンツを破ったといいます。森本容疑者はその様子をスマートフォンで撮影していました。被害者男性は日常的にいじめを受けていたようで、髪の毛をバリカンで刈られたりといった暴行もあったと見られています。男性はその後『適応障害』と診断され、退職しています。警察は余罪があるとみて捜査を進めているところです」
今回の事件を受け、「“余罪”は他にもありますよ」と証言するのは前出の元同僚である。
他の支店勤務時代にも同僚を裸にしたり、頭を坊主にする行為は日常的
「岩倉は静岡県の高校を卒業した後、2014年にアート社の三河支店(愛知県)に正社員として配属されました。アート社しか採用試験に受からなかったから入社したと言っていましたね。アート社での仕事は朝が早かったり、夜が遅かったりと時間が不規則なので、誰かの家に泊まって一緒に出退勤することがよくあります。この事件でも岩倉の家がたまり場になっていたようですが、三河時代にもシェアハウスのような形でみんなでよくたむろしていました。そんな状況のなかで、岩倉が同僚を裸にしたり、頭を坊主にする行為は日常的にありました。彼は見下した相手には容赦がないんです。作業中の暴力やアルバイトを殴るなんて当たり前にやっていました」
当時、ある社員が岩倉容疑者の標的になったという。
裸にさせた同僚の局部にビニール袋を巻き付けスマホで撮影
「なよなよしていて、理不尽なことに対して言い返せない性格の先輩社員Aがいたのですが、岩倉は別の社員Bと一緒に彼をよくいじめていました。岩倉はAを裸にさせると半透明のビニール袋を局部から上半身にかけて巻き付けて、その姿をスマホで撮影していたことがあります。岩倉と共通の知り合いから画像を見せてもらいましたが、やっていることが幼稚なんです。ビニール袋はモザイクのつもりなのかもしれませんが、局部は透けて見えているし、ネックウォーマーと白靴下だけは着用させていて、全裸で撮られるよりも屈辱的だと感じました」(同前)
岩倉容疑者の暴挙はこれだけに収まらなかった。Aさんに無理やり借金をさせたのだという。元同僚が続ける。
消費者金融3社でカードを作らせ300万円を使い込み
「暴力だけでは済まず、岩倉はAに消費者金融3社でカードを作らせ、借金を300万円も抱えさせました。それを一緒にいじめていたBと2人で使い込んでいたんです。Aが返済できなくなり、親が警察に相談して問題が発覚しました。当時、Aの親が消費者金融に一括して返済したうえで、岩倉とBが親に毎月返済をしていると聞いています。その後、岩倉は表向き“自主退職”という形で辞めていきました」
2年ほど勤めたアート社を退職した岩倉容疑者は別の仕事に1年従事したという。だがこの仕事も続かず、再びアート社に就職している。直後の配属先は不明だが、今回の事件時点では葛飾支店で働いていた。なぜアート社はかつて問題を起こしたことがある元社員を再就職させたのか。
アート社に見解を問い合わせると、今回のいじめ事件については「11月9日に当社社員3名およびアルバイトとして勤務していた1名が強制わいせつ致傷罪で逮捕されたことについて、事実であることを確認いたしました。当社は、日常的に暴力行為があったという事実を把握しておりません」と逮捕容疑に関する事実関係だけは認めた。そのうえで、岩倉容疑者の三河時代のいじめと金銭トラブルについては、概ね下記のように回答している。
「(暴力行為や金銭トラブルについて)当社は、ご指摘の事実を把握しておりません。当社が当該社員から自主退職の申出を受けたのは、日常的な暴力行為を原因とするものではなく、異なる理由を原因とするものです。(再就職については)当社においては、一度当社を退職した従業員を積極的に再雇用する制度があるところ、当該社員については、上記の退職申出の理由や従前の勤務状況その他の事情を勘案して、再雇用に至ったものです」
「あったらいいな」をカタチにしてきたアート社。今回の事件や三河時代のAさんへの暴挙は「あったらいいはずがない」悔やまれる“同僚いじめ”だった――
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