国防の危機 「見せかけの防衛費増強」を許すな! 「GDP比1%で平和保持」の〝神話〟は消え去った 「特別予算」や円安での「埋蔵金」で賄える

日本を取り巻く安全保障環境が悪化し、戦後、最大とも言うべき転換点を迎えている。まさに「国防の危機」である。 現状変更を試みる覇権主義の中国、今年に入って60発以上のミサイル発射を繰り返す北朝鮮、ウクライナ侵攻をしたロシアなどに、わが国は取り囲まれている。 「憲法9条」「専守防衛」「防衛費のGDP(国内総生産)比の1%」を唱えていれば平和が保たれるといった国内のみで通用する〝神話〟は、国外の急速な状況変化の前で消え去った。 岸田文雄政権は「防衛費のGDP比2%以上」「反撃能力の保有」を目指し、「国家安全保障戦略」を12月までに10年ぶりに改定する。 そもそも、2%というのは、NATO(北大西洋条約機構)が加盟国に求めている基準に準拠しようというもの。ウクライナと地続きのドイツは今年6月、国防費に約14兆円の特別資金を拠出する法案を可決し、GDP比2%を簡単にクリアした。ポーランドも9月に約4・1兆円の特別資金を投入し、同比3%超えになった。 だが、わが国は5年後を目途にしているためスピード感がない。さらに現行防衛予算約5・4兆円が、年末に決まる今後5年間の中期防衛計画次第で、来年度からどう反映されるかは未定だ。 政府は、防衛費に加え、研究開発、公共インフラ整備、海保予算を一括で計上し、「総合防衛費」として創設することを検討しているという。防衛のために他省庁と連携するのはいい。 だが、他省庁の予算まで組み入れた「見せかけの防衛費増」で、真に国民の生命・財産を守れるのかといった疑問もわく。 隣の大国・中国にいたっては、公表分だけで日本の防衛費の6倍以上の30兆円超だ。この30年で約39倍と急進した。わが国が数字ありきで2%を達成しても、置かれた現実は厳しい。 加えて、自衛隊には「災害派遣」や「国際協力」といった任務もある。筆者は、東日本大震災での派遣や、カンボジアやルワンダでのPKO(国連平和維持活動)や難民支援などに同行取材した。自衛官の活動には「本当に頭が下がる」思いだった。今後もこうした活動は続く。ウクライナ停戦ともなれば、平和維持として自衛隊が派遣されるかもしれない。 だが、国防をはじめとするこれらの活動も、すべて自衛官の力あってこそ。いわば「人材」が必要だ。「人は城、人は石垣」という言葉があるが自衛官の定員数約25万人のうち、現状1万6400人も足りていない。 防衛予算のうち、人件・糧食費は42%を占めるが、話題になりやすい装備品等購入費(15・8%)以上に改善しなければならない根幹だ。
日本を取り巻く安全保障環境が悪化し、戦後、最大とも言うべき転換点を迎えている。まさに「国防の危機」である。
現状変更を試みる覇権主義の中国、今年に入って60発以上のミサイル発射を繰り返す北朝鮮、ウクライナ侵攻をしたロシアなどに、わが国は取り囲まれている。
「憲法9条」「専守防衛」「防衛費のGDP(国内総生産)比の1%」を唱えていれば平和が保たれるといった国内のみで通用する〝神話〟は、国外の急速な状況変化の前で消え去った。
岸田文雄政権は「防衛費のGDP比2%以上」「反撃能力の保有」を目指し、「国家安全保障戦略」を12月までに10年ぶりに改定する。
そもそも、2%というのは、NATO(北大西洋条約機構)が加盟国に求めている基準に準拠しようというもの。ウクライナと地続きのドイツは今年6月、国防費に約14兆円の特別資金を拠出する法案を可決し、GDP比2%を簡単にクリアした。ポーランドも9月に約4・1兆円の特別資金を投入し、同比3%超えになった。
だが、わが国は5年後を目途にしているためスピード感がない。さらに現行防衛予算約5・4兆円が、年末に決まる今後5年間の中期防衛計画次第で、来年度からどう反映されるかは未定だ。
政府は、防衛費に加え、研究開発、公共インフラ整備、海保予算を一括で計上し、「総合防衛費」として創設することを検討しているという。防衛のために他省庁と連携するのはいい。
だが、他省庁の予算まで組み入れた「見せかけの防衛費増」で、真に国民の生命・財産を守れるのかといった疑問もわく。
隣の大国・中国にいたっては、公表分だけで日本の防衛費の6倍以上の30兆円超だ。この30年で約39倍と急進した。わが国が数字ありきで2%を達成しても、置かれた現実は厳しい。
加えて、自衛隊には「災害派遣」や「国際協力」といった任務もある。筆者は、東日本大震災での派遣や、カンボジアやルワンダでのPKO(国連平和維持活動)や難民支援などに同行取材した。自衛官の活動には「本当に頭が下がる」思いだった。今後もこうした活動は続く。ウクライナ停戦ともなれば、平和維持として自衛隊が派遣されるかもしれない。
だが、国防をはじめとするこれらの活動も、すべて自衛官の力あってこそ。いわば「人材」が必要だ。「人は城、人は石垣」という言葉があるが自衛官の定員数約25万人のうち、現状1万6400人も足りていない。
防衛予算のうち、人件・糧食費は42%を占めるが、話題になりやすい装備品等購入費(15・8%)以上に改善しなければならない根幹だ。