「過労死等防止対策推進シンポジウム」(厚生労働省主催)が22日、宮崎市内であり、過労死したNHK記者、佐戸未和さん(当時31歳)の母恵美子さん(73)が「命より大切な仕事はない」と長時間労働や職場のハラスメント撲滅を約100人の参加者に訴えた。11月は過労死等防止啓発月間。
佐戸さんは2005年に入局し、鹿児島放送局勤務を経て、10年に首都圏放送センターに異動。都議選、参院選取材後の13年7月、自宅で急死した。両親の調査によると、残業時間は6月188時間、7月209時間と過労死ライン(80時間)を大幅に超えていた。
恵美子さんは、佐戸さんが鹿児島放送局時代、拉致被害者家族取材に熱心に取り組んでいたことや、携帯電話を握りしめて亡くなっていたことなどに触れ、「過労死の裏には職場での孤立やハラスメントがひそんでいる。(遺体発見までの2日間)娘になぜ職場は行動を起こしてくれなかったのか。ただただ生きてほしかった」と無念さを訴えた。
メンタルヘルス会社と活動団体の代表も登壇し「悩みや相談を打ち明けやすい職場環境づくりが何より必要」「じっくり話を聞いてくれることが遺族の支えになる」などと指摘した。【塩月由香】