複数の談合疑惑会社から出向社員 組織委大会運営局 受注調整関与の疑い

東京五輪・パラリンピック大会を巡る入札談合事件で、発注を担当した大会組織委員会の大会運営局に、談合が疑われている複数の広告会社から社員が出向していたことが26日、関係者への取材で分かった。東京地検特捜部と公正取引委員会は、組織委元幹部で大会運営局元次長の自宅を独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで家宅捜索しており、広告会社だけでなく運営局も受注調整に関与した疑いもあるとみて捜査しているもようだ。
関係者によると、大会運営局には、25日に捜索を受けた広告大手「電通」のほか、同様に捜索を受けたイベント会社「セレスポ」から複数の社員が出向。五輪・パラの本大会に向け運営や警備、観客誘導などの課題を確認するため、平成30~令和3年に計56回実施されたテスト大会の運営などを担っていた。
入札談合が疑われているのは、テスト大会の計画立案業務の競争入札26件。そのうち電通は5件を計約8千万円で落札した。セレスポは5件を計約1億1600万円で、制作会社との共同事業体でも1件を約1300万円で、それぞれ落札。その後、電通とセレスポは本大会の運営業務も複数、受注していた。
25日に捜索を受けた大会運営局の元次長が、受注企業の選定について周囲に懸念を伝えていたことも判明。全競技で運営を受注する企業が確保できるか、危惧していたとみられる。
東京大会は五輪で33競技、パラで22競技が実施されたが、国内ではなじみがなく、広告会社やイベント会社に運営ノウハウが共有されていない競技もあった。一部の競技団体からは、適切な受注が確保できるか懸念の声も出ていた。
特捜部は、大会の汚職事件の捜査の過程で、入札前に落札企業側の意向を取りまとめたリストを電通から押収。リストを共有していた組織委が受注調整に利用していた可能性があるとみているもようだ。