岸田首相と野党党首による党首討論が、今年一度も開かれない公算が大きくなった。国会会期末の12月10日まで残り約2週間で、2022年度第2次補正予算案や高額寄付被害を救済・防止する新法の審議が残っているためだ。与野党間で開催を模索する動きもなく、形骸化が顕著となっている。
党首討論は国会審議の活性化を目的に2000年に正式導入された。同年に8回開催されたが、その後は減少し、17、20年は「ゼロ」。菅政権下の21年6月以来、一度も開かれていない。
全体の時間は45分で、各党首の持ち時間は限られる。野党は「首相を長時間追及できる」(立憲民主党幹部)との理由で予算委員会を重視する傾向が強まっている。
実際、25日の衆院予算委で立民の泉代表の質問時間は約45分に上った。泉氏は予算委後、記者団に「党首討論のつもりで臨んだ」と述べ、形式にこだわる必要はないとの考えを示した。
一方、自民党の世耕弘成参院幹事長は同日の記者会見で「可能であれば行った方がいい」と指摘した。ただ、内閣支持率が低下する中、「首相が追及されると分かっていながら、開催を働きかけるメリットがない」(自民幹部)のが実情だ。