岸田首相は28日、首相官邸で浜田防衛相、鈴木財務相と会談し、防衛費を今後5年で増額し、2027年度に防衛費と安全保障関連の経費を合わせ、現在の対国内総生産(GDP)比2%に達する予算を確保するよう指示した。27年度に向け、歳出・歳入両面での財源確保措置を年末に決定する方針も示した。
首相が防衛費増額の水準を明言したのは初めてだ。会談では、防衛力を抜本強化する意向を強調し、「財源がないからできないということではなく、様々な工夫をしたうえで、必要な内容を迅速にしっかり確保する」と語った。浜田氏が会談後、記者団に明かした。
現在のGDPだと、2%の達成には約11兆円が必要になる。22年度当初予算の防衛費は約5兆4000億円で、GDP比は0・96%にとどまっている。
政府は防衛費に加え、海上保安庁予算や、防衛に資する防衛省以外の研究開発費、公共インフラ(社会基盤)整備費などの安保関連経費を合わせ、27年度に現在のGDP比で2%を目指す。5年後のGDP比としなかったのは、現時点で目指すべき水準を明確化する狙いがあるとみられる。
首相は会談で、27年度以降も防衛力を維持・強化すると指摘し、「国家の責任として、歳出改革に最大限努力するとしても、安定的に支えるための財源措置は不可欠だ」と述べた。浜田、鈴木両氏に、今後5年間の中期防衛力整備計画(中期防)における防衛費の規模と財源確保策を年末に一体的に決定するよう求めた。
政府・与党は中期防の規模について、現中期防の約27兆4700億円から大幅に増額し、40兆円超とする方向で調整している。自民党内では増税は避けられないとの指摘がある一方、異論も根強く、年末に具体的な税目まで踏み込むかどうかが焦点となる。