前橋市前副市長、別の工事でも入札情報漏えいの疑いで再逮捕

前橋市発注の公共工事を巡る官製談合事件で、群馬県警は28日、別の工事の入札で予定価格を漏らしたとして、前橋市前副市長、戸塚良明被告(72)=同市上佐鳥町、官製談合防止法違反の罪などで起訴=を同法違反と公契約関係競売入札妨害の疑いで再逮捕した。また、同市の水道工事会社「シノハラゼネラル」社長、古川澄人容疑者(57)=同市大胡町=を同容疑で逮捕した。県警は2人の認否を明らかにしていない。
逮捕容疑は2020年10月、市が発注した農業水路のパイプライン改修工事の指名競争入札で、当時副市長だった戸塚容疑者が予定価格を古川容疑者に漏らし、同社に予定価格に近い1310万円で落札させ、公正な入札を妨害したとしている。
県警によると、戸塚容疑者は携帯電話で予定価格を漏らしていたという。入札には11社が参加し、落札率は96・8%だった。県警は今月4日、配水管工事の指名競争入札で予定価格を漏らしたなどとして戸塚容疑者と同市の水道工事会社「上武工業」元社長を逮捕。前橋地検は25日、2人を起訴していた。
戸塚容疑者の取り調べや押収品を調べる過程で、今回の容疑が発覚したという。
戸塚容疑者は公営企業管理者などを経て20年から副市長を務め、10月31日付で辞任していた。
県警は28日午後6時過ぎ、同市役所に家宅捜索に入った。同市の山本龍市長は、戸塚容疑者の再逮捕を受け、「市民に重ねて不安や不信感を与え、本当におわびする」と陳謝する談話を発表した。県警の捜査に全面的に協力するとした上で、「再発防止と綱紀粛正のさらなる徹底を図り、市民の信頼回復に全力で取り組む」とも訴え、市役所の再発防止策を強化する考えを示した。【西本龍太朗、田所柳子】