糖尿病の名称「実態にそぐわない」、尿の表記に抵抗感持つ患者も…医師ら変更議論

国内で1000万人が患う糖尿病について、医師や患者らでつくる「日本糖尿病協会」(清野裕理事長)は、病気の実態にそぐわないとして、新たな病名の検討を始めた。日本糖尿病学会と合同で議論し、候補となる病名を2年以内に提案する考えだ。
糖尿病は、細胞が糖を取り込むのを助けるホルモン「インスリン」の働きが低下し、血液中の糖の濃度(血糖)が慢性的に高くなる。かつては「蜜尿病」とも呼ばれたが、1907年、日本内科学会が糖尿病に統一した。尿に糖が出る病気とされ、当時は、尿検査で診断していた。実際は、患者の尿に糖が混じるとは限らない。糖が出ても、別の病気が原因のケースもある。このため、現在は血液検査で診断する。
病名に抵抗を持つ患者も少なくない。同協会が今月公表した糖尿病患者への調査では、インターネットで回答した約1100人のうち8割が、「尿」という表記に違和感や羞恥心を抱いているなどの理由で、病名の変更を求めた。
これまでにも、定着していた病名が見直された例はある。2002年には日本精神神経学会が、精神分裂病から統合失調症への変更を決定。04年には国の検討会が、

痴呆
(ちほう)を認知症に改めた。
同協会の山田祐一郎理事は「病気の正しい理解につながる新たな病名候補を提案し、幅広く意見を求めたい。もし変更する場合は、国にも理解を求め、普及させたい」と話している。