猛威振るう鳥インフルエンザ 動物園や水族館も「厳戒態勢」

高病原性鳥インフルエンザが10月下旬から全国各地に広がっている。鶏などを指す「家きん」では11月30日時点で13道県で発生し、四国でも香川県観音寺市の養鶏場などで確認された。和歌山県白浜町の「アドベンチャーワールド」でも11日に感染が確認され、レジャー施設へも飛び火している。ペンギンなどの鳥類を飼育し、警戒を強めている四国の動物園や水族館への影響を調べた。
香川県では観音寺市の養鶏場以外にも、11月7日に丸亀城(丸亀市)の堀で飼われていたコブハクチョウ1羽が死んだ。高病原性のウイルスを検出したため、周辺の半径10キロが野鳥監視重点区域に指定された。区域内の宇多津町にある四国水族館では、ケープペンギン(22羽)の展示エリアに野鳥が近付けないよう防鳥ネットを設置していたが、9日からは展示そのものを取りやめた。担当者は「マニュアルにのっとって、特定の飼育員が消毒などの防疫措置をした上で対応している」と話す。
クジャクの園内での放し飼いのイベントやトラの赤ちゃんを抱っこしての記念撮影などができる、しろとり動物園(東かがわ市)。さまざまな動物と触れ合えるのが魅力だが、展示ブース周辺を消毒しつつ一部鳥類の展示を中止。さらに、土日祝日や大型連休を除いて認めているペット同伴での来園を鳥類は2023年4月まで不可とした。
とくしま動物園北島建設の森(徳島市)では、岡山県倉敷市で10月下旬に国内で今季初めて発生したことを受け、カンムリヅルやオシドリなどを間近で見られる施設「フライングケージ」への入場を中止。11月2日からはペンギン、フラミンゴなどの展示を取りやめた。
高知県立のいち動物公園(香南市)では11月2日から一部の展示を休止する一方で、ハシビロコウは屋内でのみ展示し、フラミンゴやフンボルトペンギンは普段より距離を取っての観覧とした。種類による罹患(りかん)しやすさの違いなどを考慮したという。他にも、「ウイルスを保持している可能性もある」(担当者)ため、弱っている野鳥の受け入れを当面中止する。
愛媛県立とべ動物園(砥部町)はフラミンゴ舎などに防鳥ネットを張っている。フンボルトペンギンなど46種類149羽の鳥類がいる同園。鳥類関連イベントを中止し、鳥舎への担当職員ら以外の立ち入りを禁止している。同園の熊岡悟史・動物病院長は「発生状況に応じて迅速に対応できるよう、消毒剤や防鳥ネットなどの資機材を常備している」。21年度の年末年始に県内で初めて発生した時には「園内に入る全車両、閉園日に全ての鳥舎を消毒した」というが、現在は園内のマニュアルも現状に即したものに改訂して対応に当たっている。【山中宏之】