保育士虐待事件 お互いを止められなかった3人…なぜ1歳児をターゲットに?

静岡県裾野市の私立「さくら保育園」で園児を虐待したとして、暴行容疑で保育士3人=退職=が逮捕された事件に全国から注目が集まっている。プロの保育士でありながらどうしてこんなひどいことをしてしまったのか。保育士による虐待という異常な事件について、専門家が分析した。同市は5日、犯人隠避容疑で桜井利彦園長を刑事告発。静岡県警は暴行容疑で逮捕した保育士の三浦沙知容疑者(30)、小松香織容疑者(38)、服部理江容疑者(39)を同日、同容疑で送検した。
園児にカッターナイフを見せて脅したり、足をつかんで宙づりにしたりなど虐待行為は非道で数も多いが、なぜ、3人はお互いに虐待を止めなかったのか。「人格形成は3歳まで 最新凶悪犯罪分析に基づく子育ての参考書」(青志社)を著した国際社会病理学者の阿部憲仁氏はこう語る。
「クラス内のいじめと同様、攻撃性を抱えたグループを止めに入ろうとする者は、自らがその攻撃性のターゲットになる可能性が高いことをその場の空気から読み取っている。3人の間で虐待は黙認されていたと考えられる」。下手に止めると自分が攻撃される怖さがあるから、見て見ぬふりをしがちというわけだ。それにしても、なぜ園児、特に最もか弱い1歳児クラスの園児をターゲットにしたのか。
「ストレスを抱えた人が抵抗することのできない小動物を虐待することから始めるケースは多い。1歳児は同様の意味でバレずに日頃のうっぷんを晴らすにはうってつけのターゲット。虐待中は、(虐待をしているのは)自分一人ではないという連帯感も重なる」と阿部氏は話している。
ストレスがあろうが何だろうが虐待は許されることではない。