「自閉症が疑われる息子の将来を悲観」 3歳長男を浴槽に沈め殺害 母親に懲役4年6ヵ月の実刑判決 京都地裁

5年前、京都府内で当時3歳の長男を浴槽に沈めて殺害した罪に問われている母親の裁判で、京都地裁は懲役4年6ヵ月の実刑判決を言い渡しました。
事件が起きたのは2017年11月。久木山佳代被告(37)は当時住んでいた京都府木津川市内の集合住宅で長男の永時(ながとき)ちゃん(当時3)を、湯を張った浴槽に沈めて殺害したとして、去年11月に逮捕されました。
当時、久木山被告は自ら消防に通報し、駆けつけた救急隊員に「浴槽の湯がたまるところに子どもが浮かんでいるのを見つけた」と説明していました。
事件当日、久木山被告の目撃した近隣住民は、その様子について違和感を覚えたといいます。
(近隣住民)「普通(事件後)すぐ誰かに会ったら、いやーって感情的になるのに(久木山被告は)泣いていなかった。(Q.そこまで取り乱す様子はなかった?)全然(なかった)」。
しかし11月30日に開かれた初公判で、久木山被告は「間違いありません」と起訴内容を認めました。
検察側は「当時被告は善悪の判断がつかない精神状態ではなく、永時ちゃんが完全に動かなくなるまで浴槽に頭を沈めた行為は残虐」と指摘。懲役8年を求刑しました。
一方、弁護側は「永時ちゃんには発達の遅れがあり、被告は子どもの将来に不安を感じ、焦っていた」「逮捕後、事件と向き合い反省を深めている」として情状酌量を求めていました。
そして、午後3時すぎから開かれた判決公判で「長男の療育に疲弊し、殺意を持って殺害したものの、犯行には自身の障害も背景にあり、一定の酌量すべき事情がある」として、久木山被告に懲役4年6ヵ月の実刑判決を言い渡しました。
【京都地裁前から中継:千葉泰真記者】
判決が言い渡される間、久木山被告は時折天井を見上げ、涙を拭う様子も見られました。
先日開かれた初公判の際には、検察が冒頭陳述を読み上げる間、被告は大きく泣き崩れ、裁判長が2度「大丈夫ですか」と問いかける場面がありました。その姿からは自らの手で息子を殺めてしまったことへの大きな後悔と悲しみといった感情を感じ取ることができました。
(Q.被告は子育てに悩んでいた?)
永時ちゃんには自閉症が疑われるという診断が出ており、久木山被告自身も「躁うつ病」に苦しんでいました。一方で、子育てに悩みを抱えていた被告人は、臨床心理士によるケアなどを受けており、判決の際にも一定の行政サポートがあったと認められました。
ただ結果として、久木山被告が一人で子どもの将来を悩み思いつめ、犯行に至ってしまった。その結果が重大であることは、関係機関が今後の教訓にするべきことだと思います。
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