公正取引委員会の小林渉事務総長は7日の定例記者会見で、東京オリンピック・パラリンピックのテスト大会を巡る談合事件について「世界的なイベントが久しぶりに日本で開催された。国民の注目が高い中で、独占禁止法違反の行為が行われたならば、国民生活に重大な影響を及ぼす悪質な違反と考えられる。違反行為が認められれば、告発を視野に入れて審査する」と話した。
今回の五輪談合事件を巡っては、公取委が東京地検特捜部と共に11月に関係先を家宅捜索している。小林事務総長は会見で、一般論とした上で「(談合が)必要悪という方便は耳にするが、発注者が競争的な方法で受注者を決める仕組みである以上、談合は、理由はともあれ許されない」とも述べた。
一方で、中国・中部・九州の大手電力会社3社が違法なカルテルを結んでいたとして公取委が今月1日、総額1000億円超の課徴金納付を含む処分案を通知したことにも言及した。各大手電力会社が各地域において唯一の供給者だった時代が長く続いてきたことに触れた上で、「(電力販売は)業務用から家庭向けへ自由化が進んだ。競争導入で消費者にメリットのある電力市場になるよう進んできた中、仮に供給区域を元に戻すように分割しエリアを守ることがあれば、制度の趣旨や電力自由化、我が国が目指す電力市場の方向性に反するものだ」と厳しく批判した。【柿崎誠】