核廃絶に向けて内外の有識者が議論する「国際賢人会議」の第1回会合が10日、広島市内で2日間の日程で始まった。開催を主導した岸田文雄首相はメッセージを寄せ、「核軍縮を巡る厳しい現実の壁は以前に増して大きい」と認めつつ、「現実を理想に結び付ける道筋を見いだすため、私はたいまつを強く高く掲げ続ける」と訴えた。
首相はウクライナ侵攻で核使用を示唆するロシアや、核・ミサイル開発を続ける北朝鮮に言及。「困難でも『核兵器のない世界』へ歩まねばならない。理想に近づくため、具体的な方策を示してほしい」と出席者に呼び掛けた。
首相は「核なき世界」実現をライフワークとする。来年5月に自身の地元でもある広島市で先進7カ国首脳会議(G7サミット)を控えており、これに向け核廃絶の機運を高める狙いがある。
会議初日は世界の政治リーダーらのビデオメッセージも流され、オバマ元米大統領は「子孫のために『核兵器のない世界』を追求する責任がある」と強調。国連のグテレス事務総長は「広島は核兵器の悲劇と、平和への希望の象徴だ。被爆者の声に耳を傾けなければならない」と語った。
◇分断も反映
国際社会の分断を象徴するような場面もあった。ドイツのシュタインマイヤー大統領とオーストラリアのアルバニージー首相はビデオメッセージで、核使用をちらつかせるロシアを「無謀で無責任」「絶対に容認できない」などと批判した。
これに対し、有識者として出席したロシア民間シンクタンクのフロプコフ氏は「核を威嚇に使っているとの発言は正しくない」と反論した。
終了後、座長の白石隆熊本県立大理事長は記者団に、国際情勢や核軍縮を阻む要素について意見交換したと説明。「密度の濃い議論ができた」と語った。また、来年6月か7月に第2回会合を開催したい考えを示した。
メンバーは米中ロやインドなど核兵器保有国と、ニュージーランド、ヨルダンなど非保有国からの15人。一部は欠席した。11日に平和記念公園で原爆死没者慰霊碑に献花し、資料館を視察する。
[時事通信社]