日本を取り巻く安全保障環境が悪化するなか、有事に国民を保護する「緊急一時避難施設(シェルター)の整備」を加速させる自民党議連が近く発足する。発起人には、菅義偉前首相や、萩生田光一政調会長、小野寺五典元防衛相らが名を連ねている。防衛力強化と並んで、国民の生命と財産を守るシェルターは極めて重要だ。呼びかけ人である片山さつき参院議員に聞いた。
「『日本有事』は目前に迫っている。国民の生命を守る切り札といえるシェルターの整備は待ったなしだ」「太陽光パネルに熱を上げる暇があれば、国民の生命や財産を守る手立てを即刻、整備すべきだ」
片山氏は指摘した。強い危機感が感じられた。
議連の発起人には、前出の3人のほか、森山裕選挙対策委員長や、高木毅国対委員長、梶山弘志幹事長代行、世耕弘成参院幹事長、防衛相経験者、自衛隊OBの佐藤正久元外務副大臣らがズラリと並んだ。党を挙げて、議論を加速する構えだ。
議連では、月内に政府が閣議決定する国家安全保障戦略などの「安保3文書」に、避難施設確保の道筋を明記することを求める。核攻撃の強烈な威力や汚染に耐える設備基準を示し、税制や補助金の優遇、法的裏付けなどの具体化も提言する。
世界では、シェルターを制度化する国も少なくない。イスラエルでは、一般オフィスや商業施設も含めて設置が義務化されている。韓国では、北朝鮮との軍事境界線付近に、国の補助で避難施設を設置している。
日本は、中国とロシア、北朝鮮という核保有3国に囲まれている。中国は日本のEEZ(排他的経済水域)に弾道ミサイル5発を撃ち込み、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は核兵器使用を否定しない。北朝鮮のミサイル発射は記録を更新し、「7回目の核実験」の準備も完了したとされる。
浜田靖一防衛相も先月の記者会見で、「(シェルター整備は)被害防止のみならず、攻撃抑止の観点からも重要だ」と強い関心を表明した。
片山氏は「ミサイルは発射数分で到達する可能性もある。日本は『起きてほしくないことは起きない』と思い込み、危機の本質から目をそらしてきた。シェルターでは、汚染を想定して一定期間滞在できる機能や備蓄なども必要だ。課題は山積している」と語った。