北新地放火1年 現場ビルは改修中、戻る意向の店も「負けたくない」

26人の命が奪われた惨劇から1年。放火殺人事件が起きた大阪・北新地の8階建てビルでは改修工事が続いている。ビルにはクリニックのほか、紳士服店、英会話教室、ネイルサロンなどが入居していたが、事件後は新天地で営業を再開したテナントも。一方で改修が終われば現場ビルに戻る意向の店もある。テナント関係者は「尊い命を奪った犯人を今でも許せない。負けたくない」と話す。
師走で多くの人が行き交う大阪市北区の繁華街。現場ビル近くの路上には今も犠牲者を悼むように花が供えられている。クリニックが入居していた4階の窓は塞がれ、紳士服店が入っていた1階には改修工事用とみられる機材が置かれている。
2階に入居していた英会話教室「イングリッシュカフェ クロック西梅田校」は今年2月、現場近くのビルに移転し、営業を再開。12月に入りオーナー側と連絡がつき、改修工事をすることや、解約する場合は保証金などが返還されると説明を受けたという。運営会社代表の村上剛さんは「多くの犠牲者が出たことが痛ましい。だからこそ安全性に配慮してほしい。現場ビルに戻るかどうかは慎重に検討したい」と話す。
一方、1階に入居していたオーダー紳士服店「ダンカン堂島店」は改修後、現場ビルに戻る意向だ。事件後、約9カ月間臨時休業していたが、今年9月、隣接するビル3階の仮店舗で営業を再開した。同店を運営する尾上繊維の担当者、栄岩(はえいわ)和久さん(41)によると、常連客からこれまで「また行くから頑張って」など千件近い応援の声が寄せられた。
1階の路面店で利便性が高く、約20年もの間、親しまれてきた同店。栄岩さんは「店に愛着を持ってくれていたお客さんのためにも頑張りたい」と力を込める。(小川恵理子)