激論も強行「岸田増税」大混乱 1週間程度で結論、首相への不信感 党内に禍根も「国防強化の機運を潰しかねない」

岸田文雄首相の「防衛力強化=増税」という方針が強行された。自民、公明両党の与党税制協議会は15日、法人、所得、たばこの3税の増税方針を2023年度税制改正大綱に盛り込むことで合意した。根強い反対論を受け、実施時期は判断を先送りした。閣内や自民党内には、経済への影響を懸念して国債活用や景気回復の税収増を検討する声が高まっていたが〝増税派〟が押し切った。ただ、突如増税に言及し、1週間程度で結論を求めた岸田首相への不信感は残っており、火種は再燃しそうだ。
「岸田首相の表明から、わずか1週間で増税を決めるのはあまりにも乱暴だ」
増税に反対する有志議員は15日、国会内で会合を開いた。終了後、高鳥修一衆院議員は記者団にこう語った。
与党税制協議会は、法人税は4~4・5%、所得税は1%を税額に上乗せし、たばこ税は1本換算で3円引き上げることで合意した。ただ、税率や時期を定めた法整備は持ち越される見通しだ。
自民党税制調査会の宮沢洋一会長は「短期間で議論することはかなり難しいだろうな、とは思っていた」「(実施時期を先送りしたので、来年の)通常国会に法案を出せない」と記者団を前に混乱を嘆息した。
党本部9階で15日、2時間以上にわたって開かれた党税調会合は、怒号が飛び交った13、14両日の会合のように「殺気立った雰囲気」(出席者)にはならなかった。前日、「国民を敵にする方向に進んでいる」と批判した宮沢博行衆院議員も「(増税)時期は柔軟な表現にしてくれた。防衛増税無期限延期ということで納得した」と記者団に語った。
ただ、党内に不満は残っている。
ある自民党議員は「岸田首相は『安倍氏の外交・安全保障政策を継承する』と約束した。増税も否定していたが、これではをついたことになる。防衛強化の具体策を国民が理解する時間もなく、増税論ばかり先行すれば国防強化の機運を潰しかねない」と語気を強める。
防衛国債などの活用を訴える和田政宗参院議員は「来年以降の議論をしっかりやることが重要だ。増税なき防衛費増額を勝ち取っていく」と議論の継続を主張した。
増税に理解を示す石破茂元幹事長ですら、「もう少し時間をかけた方がより良かった」と語った。
混乱は続きそうだ。