日本学術会議「独立危うい」 会員選考で第三者関与の政府案に反発

日本学術会議の改革について内閣府は21日、日本学術会議法の改正案を来春までに通常国会に提出する方針を、この日あった学術会議の総会で示した。会員の選考に第三者を関与させ、首相の実質的な任命権を強調する方針で、学術会議側は「学術会議の独立性を危うくしかねず、存在意義の根幹に関わる」と強く反発。政府に再考を求める声明を取りまとめた。
政府は改正案で、委員の選考に意見を述べる第三者委員会の設置に加え、外部の第三者から会員候補の推薦を受ける仕組みの導入なども盛り込む方針。第三者はいずれも産業界や国立研究開発法人などを想定している。
一方、2023年10月には会員(210人)の半数改選が予定されているが、手続きが間に合わず改正法が適用されない見通しだ。このため政府は、会員半数の任期を1年半程度延長し、次期改選を改正法に基づく新たなルールの下で25年4月ごろに行う方針を示している。残りの半数も任期を縮め、全員を一度に改選することも検討している。
この日、内閣府の笹川武・総合政策推進室長が政府方針を説明したが、第三者委の委員の選び方や権限は今後の検討事項として明らかにしなかった。会員からは「政府から独立して職務を行う学術会議の性格を変えてしまうのではないか」などの意見が相次いだ。
政府方針に「首相による任命が適正かつ円滑に行われるよう必要な措置を講じる」と記されていたことも波紋を広げている。学術会議改革は菅義偉前首相による会員候補6人の任命拒否をきっかけに始まったためだ。
声明では「第三者委による会員選考への関与は、任命拒否の正当化につながりかねない」と懸念を示した。首相による任命は学術会議からの推薦どおりに行う「形式的任命」と解釈されてきた。しかし、首相の意をくんだ第三者が選考に介入することも想定され、実質的に任命拒否が可能になる恐れもある。
学術会議は政府から要請され、会員の選考や政府への提言方法などで抜本的な自己改革を進めている。そのさなかに今回の案が示され、梶田隆章会長は「政府の方針と我々の方針は同じ。なぜ法改正にこだわるのか理解できない」と述べた。
梶田会長は「戦後間もなく発足し、70年以上続く学術会議の歴史を変えかねない。学術と政府との信頼関係にさえ影響しかねないことを極めて深刻に懸念している」と語った。【池田知広】
内閣府の学術会議改革の具体案
・(1期3年を超える)6年間にわたる中期的な運営方針を定める。
・会員以外の外部からも会員候補の推薦を求める仕組みを導入し、積極的に登用する。
・会員選考に意見を述べる第三者委員会を設置する。
・半数会員の任期(23年9月まで)を1年半程度延長し、次期改選は新たな選考方法で行う。
・3年後、6年後をめどに、国から独立した組織とすることも含めて検討する。