知床事故の沿岸捜索、来年3月頃まで中断…家族「それまでに見つけてほしかった」

北海道・知床半島沖で観光船「KAZU I(カズワン)」が沈没した事故で、第1管区海上保安本部は21日、同半島沿岸部での捜索を来年3月頃まで中断することを明らかにした。冬季は暴風雪や海水温の低下など気象条件が悪く、潜水士の安全確保も難しいため。乗船者の家族にも20日に伝えた。来春以降、天候を見て捜索を再開する方針。巡視船や航空機による海上の捜索は続けるという。
この事故では、乗客乗員20人の死亡が確認され、6人の行方が分かっていない。
行方不明となっている小学2年男児(7)とその母親(42)の帰りを待つ父親(50)は「雪が積もれば捜索ができなくなるのは仕方がない」と理解を示した上で、「中断するまでに2人を見つけてほしかったので残念だ」と悔しさをにじませた。
1管は、海岸線での行方不明者の集中捜索を月に1回程度のペースで実施してきた。こうした対応について父親は、「冬季の中断は分かりきっていたことだ。もっと捜索の頻度を上げてほしかった」と話した。
事故から1年の日に慰霊事業

知床半島沖で沈没した観光船「KAZU I(カズワン)」の被害者の家族対応などにあたってきた斜里町で、事故発生から1年となる来年4月23日、町内で慰霊事業が行われる。町への取材で分かった。
町によると、事故発生後に町を挙げて、被害者の家族対応、捜索支援にあたってきたことから、町単独ではなく、実行委員会をつくって慰霊事業を行う。
事業内容は、献花などを予定しているが、今後、遺族の意向も聞いて決めるとしている。会場はカズワンの運航拠点で、遺族、関係者らに対応できる宿泊施設の軒数などからウトロ地区になる見通しだ。
慰霊事業の当日は統一地方選で行われる斜里町長選、同町議選の投開票日にあたり、公共施設は軒並み投票所となる。町職員だけでは慰霊事業に対応できないとみられるため、地元の漁協、観光協会などに協力を呼びかけて実行委員会をつくって、慰霊事業に臨むという。
選挙と慰霊事業を同日開催することについて、町は「馬場隆町長の任期は(来年)4月30日までなので問題ない。むしろ、この日に何らかの慰霊事業を行わないこともおかしい」との認識を示した。