「交際中、髙島からヤクザに頼んで『殺す』『攫う』と言われ続けていたんです。今でもいつか急に攫われて殺されたりするんじゃないかと不安で……。周囲からは『考えすぎだよ』と言われることもありました。でも、聞いたことのあるヤクザの組や人の名前を出されていたのでまったくの嘘だとは思えなくて。今でも殺されるんじゃないかって恐怖心に押しつぶされそうなんです……」
髙島とはグループの総資産600億円を超える上場企業「MCJ」代表取締役・髙島勇二氏のこと。涙を浮かべながらこう話すのは、髙島氏と約1年半にわたり交際していた小嶺香織さん(20代・仮名)。香織さんはすらりと背が高く、整った顔立ちは福原遥に似ているだろうか。
香織さんは、髙島氏から日常的に受けていた暴行について「週刊現代」(2022年11月19・26日号)で告発。そして12月14日、香織さんはついに髙島氏から複数回暴行されたとして刑事告訴に踏み切った。香織さんの代理人弁護士曰く、「告訴状とともに暴行状況時の音声や映像等の証拠類を提出し、同日、麹町警察署で受理されました」。刑法に詳しい法律家はこう解説する。
「告訴状を受理すれば、警察には捜査を尽くす義務が生まれます。そのため受理されるには一定のハードルがある。今回のケースで即日受理されたのは、暴行を裏付ける客観的な証拠があったことが大きかったとみられます」
その告訴状には、いまだ語られていなかった髙島氏の悪行についても記されていた。香織さんに刑事告訴に至るまでの経緯や、髙島氏から受けた脅迫や暴行のすべてについて改めて聞くと、それは想像を絶するものだった――。
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出会いは高級タワマンでのパーティー
《マウス~マウス~パソコンマウス~》
乃木坂46のメンバーが軽快に歌うキャッチーなCMで一躍知名度を上げた「マウスコンピューター」。現在はタレントのホラン千秋を起用するなど、有名タレントが出演するCM戦略で世間の認知度を高めている。
「マウスコンピューター」はMCJの子会社で、髙島氏は同社の創業者だ。髙島氏は1998年にパソコン製造販売を行う有限会社「エム―シージェイ」を立ち上げ、社名を変更したMCJは2004年に東京証券取引所マザーズで上場。MCJは髙島氏が一代から築き上げ、2022年3月期の売上高では1912億円を超える大企業に成長した。
香織さんが髙島氏と出会ったのは2020年2月頃のこと。髙島氏が所有する港区のタワーマンションで開催されたパーティに参加したことがきっかけだった。
「その日、友人から誘われパーティに行くと2、30人くらいの男女がお酒を飲んでワイワイと盛り上がっていました。私はあまりその場の空気に馴染めず、1時間ほどで帰ることにしました。その帰り際に主催だった髙島に挨拶をすると、髙島から『連絡先を交換しよう』と言われ連絡先を交換することになりました」
同棲をきっかけに態度が急変
2人が知り合い交際を始めるまで時間はかからなかった。何度か食事を重ね、出会ってから1カ月ほど経った2020年の3月頃には交際がスタートした。
「髙島がオーナーのバーで、飲んでいる時に告白されました。髙島との会話はいつも楽しくて面白い人だなと思っていたので、断る理由も特になく告白を受け入れました。今まで出会ったことのないくらい個性的な人で、付き合ってから好きな気持ちはさらに強くなりました。
最初はすごく良い彼氏だったんですよ。全国各地に旅行に連れて行ってくれて、一緒に動物園や水族館に行ったこともいい思い出です。私の母の誕生日にプレゼントを買ってくれたこともありました。家族を大事にしてくれる優しい一面にも惹かれました」
交際から1カ月もせず、2人は髙島氏の住む千代田区にある高級マンションで同棲を始めることになった。しかしこの同棲が香織さんにとって悪夢の始まりだった。髙島氏の香織さんに対する態度が、急変していったのだという。
「突き殺す!チェスト!」酒に酔った髙島氏の暴行
「お酒を飲むと性格が180度変わってしまうんです。昼は『愛してる』などの言葉をかけてくれていたので、昼の髙島のことは私も好きでした。ですが、夜にお酒を飲んで帰ってくると、人が変わったように暴力的になってしまう。
何に対してか分からないのですが、突然『うおおお殺すぞ』と家の中で暴れ回って家の中の物を蹴り飛ばしたり、物を投げつけてきたり。急に羽交い絞めにしてきたり、首を絞められることはしょっちゅうでした。EMSという電気パッドを無理やり付けられて、強い出力で電流を流されることも。『突き殺す! チェスト!』と私に向けて傘を剣のように振り回してきた時は命の危険を感じました。交際終盤、夜の髙島は、ほぼ毎日そのような状況でした」
交際していくにつれて、暴力性はエスカレートしていったという。そして2021年6月、ついに大きなトラブルへ発展してしまう。
「髙島が借りていた港区にあるタワマンの部屋に、ふと荷物を取りに行った時のことです。部屋に入ると男女10数人でパーティが開かれていました。そこで髙島を探すと、小部屋で髙島を発見しました。髙島は両脇に若い女性を抱え横たわっていました。そこで何をしてるのかと問い詰めると、『お前には関係ないだろ』と突き飛ばされたんです。
その後の記憶は曖昧なのですが、最終的に口論になって髙島から左目あたりを殴られたことは覚えています。でも翌朝、左目の怪我について髙島からは『この怪我はお前が暴れて転んだんだぞ』と言われました」
香織さんが当時の写真を見せてくれた。左目付近が痛々しく青紫色に腫れ上がっている。
さすがに香織さんは耐え切れず、トラブルの翌日、髙島氏の暴力を警察へ相談し、病院を受診した。当時の診断書には、顔面打撲症や脳震盪などの言葉が並んでおり、被害の凄まじさが見て取れる。
その後、香織さんは髙島氏に刑事告訴をする意思を伝えた。すると手のひらを返すように髙島氏の態度が一変したという。
刑事告訴を出すと髙島氏が猛省し「籍を入れよう」
「『楽しくやってたのに、こんなことで終わらせたくない』『今後こういうことがないようにする』と、当時は髙島が心から反省しているように見えてしまった。その態度を見て、いざ離れることを考えるとまだ一緒にいてもいいかな……と心が揺らいでしまいました。
さらに、その直後に、『年内に籍を入れよう』とハリー・ウィンストンの婚約指輪をもらったんです。髙島の親御さんも紹介してもらい、本格的に結婚を意識してしまいました。それで結局、その時は刑事告訴せず、彼の暴力に目を瞑ることにしてしまったんです」
しかし髙島氏は変わることなくむしろエスカレートしていったという。口論の度に反社会勢力の名前を出し、香織さんの命が狙われているということを仄めかし始めた。
「本当のヤクザとか輩とか呼んであげるからお前」
命の危険を感じていた香織さんは、この頃から髙島氏との会話を録音するようになった。10月9日、この日も些細なことから言い合いになっていたという。以下は、髙島氏と香織さんの会話が記録されている音声の一部である。
髙島「本当のヤクザとか輩とか呼んであげるからお前、いろ。なめんな。ガキが」
香織「なんで?」
髙島「なんでって言うか本当にやったるわ」
香織「なんでそんなことするの? 意味が分からないんだけど」
髙島「お前、ガキがなめんな。ここまで俺のことを」
香織「そんなんでヤクザが動かないでしょ?」
髙島「動くよ。俺を誰だと思ってるんだ」
香織「髙島勇二」
髙島「そうだよ」
香織「なんで動くの? その人たちにとって何のメリットもないじゃん」
髙島「あるんだよ。俺は金と力を全部持っている」
香織「お金でなにするの?」
髙島「バカかお前。ほんまに。色々したるわ。お前本当になめすぎだから」
香織「なめてないよ」
髙島「やったるわほんまに」
さらに、10月18日、実際に髙島氏と密接な関わりのあるX氏の名前を出し、「ヤクザで本物だから。●●(※暴力団名)だから」と、実在する反社会勢力と関わりがあるかのような発言をした。香織さんもX氏と面識があったため、余計に恐怖心を煽られたのだという。
「本当に殺されちゃうよ。急に拉致られて殺されるよ。」
髙島「I社って知らないか? お前は。本当のヤクザだって言ったじゃん」
香織「誰が?」
髙島「Xがだよ」
香織「なんでそんなXさんが私を殺すの? 意味が分かんないんだけど」
髙島「お前は俺を苦しめるからだろう」
香織「苦しめるからって殺していいの? ダメに決まってるよ」
髙島「いいんだよ。お前は本当になめすぎだよ。お前はやりすぎたよ」
香織「だからって殺すとか言っていいの? それ脅迫になるよ」
髙島「本当に殺されちゃうよ。急に拉致られて殺されるよ。本当にお前は俺にひどいこと言いすぎたし、ひどいことしすぎた」
「髙島は一代で会社を築き上げました。修羅場もくぐってきているだろうし、ヤクザとの関わりがあるというのも疑うことなく信じてしまいました。仲の良い友人にも、私が急にいなくなったら髙島に殺されたと思ってほしいと相談していたくらい、当時は毎日毎日怖くて仕方ありませんでした」
壮絶な暴行から2度の自殺未遂を起こす
髙島氏からの日常的な脅迫や暴力暴言で精神的に追い詰められていった香織さん。ついに2021年11月10日、11日に2度の自殺未遂を起してしまう。その主たる原因が髙島氏から発せられていた反社会勢力の存在だという。
「ヤクザから狙われているという言葉で本当に怖くなってしまい、『警察は俺の味方だから』とも言われていて、誰にも言えずに逃げ場がなくて追い詰められてしまったんです。その時は精神状態が普通じゃなくて……。
1度目は大量の睡眠薬と精神安定剤を飲んで、クローゼットで犬のリードをくくりつけて首を吊りました。その最中に髙島に止められました。2度目はその翌日、15階のベランダから飛び降りようと身を投げたのですが、髙島の秘書から腕を掴まれ落ちることはありませんでした」
自殺未遂を起こした香織さんは入院することになり、髙島氏とは交際関係を解消することになった。退院後、髙島氏は「合意書」のサインを求めてきたという。
「第三者に今回の件について口外しない、といった内容でした。その時はまだ精神状態も安定していなかったですが、流れで合意書のサインをし、交際手切れ金として900万円を受け取りました。髙島からの謝罪の言葉はありません。受け取ったお金には手をつけていませんので、求めてくるのであればお金も返したいと思っています。
ただ、今でも髙島の『ヤクザに頼んで殺す』という言葉に怯えています。お金なんていらないので、彼が法的に罰せられることを心から願っています」
髙島氏本人に事実確認をすべく電話をしたが、本人が出ることはなかった。その後秘書が折り返してきたが「何も回答できない」というばかり。会社の代表メールに、事の次第について文書で質問を送ったところ、「当件は髙島個人に関わる件であり、弊社からのコメントは差し控えさせていただきます」と返答があった。
香織さんはいまだに髙島氏から暴力を受けた日々を思い出し、眠れぬ日々を送っているという。
《ヤクザ脅迫音声公開》「本当に殺されちゃうよ。急に拉致られて殺されるよ」上場企業MCJ社長が元恋人に放った“常軌を逸した脅し文句” へ続く
(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))