急速な少子高齢化に歯止めがかからない。出生数は80万人を割る見込みだ。共働き世帯が7割超という状況だが、まだまだ育児・家事の負担は女性に偏りがちという声も多い。これまでも育児・共働きの実態を伝えてきたが、今回は妻が「ワンオペ育児」で育児ノイローゼになったという家庭の夫に取材した。
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大手メーカーの技術職として勤める30代男性Cさんは、他業種に正社員として勤める会社員30代妻との間に、保育園に通う3歳の子供が1人いる。妻は育休を取得し、子供が1歳を迎えた時にフルタイムで復職。Cさんは朝早く出勤し、帰宅は深夜、休日は昇格条件になっている難関資格取得の勉強のため、部屋に閉じこもり勉強。または平日に終わらなかった仕事をする超多忙な日々のため、育児や家事にはほぼ関わることができなかったという。
■子供は3人ほしかったが…
そのうち妻は「呼吸が苦しい、涙が出る、起きてもいないことを過剰に不安がる、感情の起伏が激しい、朝起きられない」など育児ノイローゼのような症状で心療内科を受診することに。ワンオペ育児と仕事で苦しみ様子がおかしいことには気付いていたというが、「本当はもっと育児などに参加しないといけないが、正直仕事のことで頭がいっぱいで、できていない」と話す。結婚した頃、「妻は子供が3人欲しいと言っていた。いまは一人っ子でいいと言っている」という。
■過労死レベルの勤務実態
Cさんの働き方は過労死ラインを超えている。平日の膨大な仕事に加え、毎月、残業の上限80時間ギリギリまで働いているとされているが、休憩時間として計上されている時間や土日などの休日も実際には働いているので、100時間を超える。自由時間も勉強に充てられ休息は寝るだけ。大手メーカーの技術系職場で、残業せず帰るのは庶務の女性だけ。時間外の時間にも当たり前に会議が設定され、メールが数百通きて忙殺される日々だという。
妻からはもっとワークライフバランスのとれる職場への転職をすすめられるが「専門性の高い職種なので転職は難しく、する気もない。これまでに積んだキャリアがあるし、転職先も変わらず激務である可能性もある」という。Cさんは、10年以上かかる大きなプロジェクトに携わっているため、今後もこのような過労死ラインを超えた働き方をすることになるという。
■日本社会の風潮も原因
長時間労働が常態化した職場が変わるには、「外部からの強制力なしには変わらない。例えば全員残業上限を月20時間にするとか」「仕事のなかで、細かなところまで厳しくするあまり例えば製品には直接影響のない書類の誤字などへの対応で膨大な時間を割かれたりする。メーカーの製品の信頼性について、日本社会が許さないという雰囲気もあるため仕方のないことではある。そういう部分が変わらなければ長時間労働が変わることはない」と話した。