思わぬ余波が広がりそうだ。
5日に衆院議員を辞職した自民党の後藤田正純元内閣府副大臣が6日、徳島市内で会見。徳島県知事選(3月23日告示・4月9日投開票)に立候補すると表明した。
後藤田氏の大叔父は「カミソリ」の異名を取った後藤田正晴元官房長官。妻は女優の水野真紀で、親族の知名度を武器に当選8回を重ねてきた。
「衆院は当選5~6回が入閣適齢期になってきているのに、後藤田さんは一度も入閣したことがない。石破派の解体で2021年12月に茂木派に入会しましたが、党内では干されている印象です。国会議員としての限界を感じて、知事転身をはかったのでしょう」(自民党関係者)
会見で後藤田氏は「経験と人脈をルーツである徳島にささげ、徳島新時代を迎えたい」などと意欲を語ったが、残念ながら地元でもあまり歓迎されていないようだ。
「後藤田は前回知事選で自公が推薦した現職の飯泉嘉門知事を批判して対立候補を支援するなど、自民党県連で孤立している。21年の衆院選は選挙区で負けて比例復活だったし、今さら知事選に出ても勝ち目はないでしょう。11年に銀座ホステスとの不倫を報じられて以来、地元での評判はガタ落ちで、女性票も逃げてしまった。昔は選挙のたびに奥さんの水野真紀が応援に入っていたけれど、最近は見かけないね」(地元事情通)
5期目の飯泉嘉門知事は知事選への態度を明らかにしていないが、他にも自民党の三木亨参院議員が立候補を表明していて、保守分裂選挙になるのは確実。地元政界は混迷しているが、それ以上に泡を食っているのが国政で国民民主党の連立政権入りを画策してきたメンメンだという。
繰り上げ当選は麻生派、玉木代表の対抗馬
自民党側では、麻生副総裁や茂木幹事長が国民民主との連立を模索してきた。国民民主も22年度予算案に賛成するなど、与党の仲間入りに前のめりだ。特に与党志向が強いのが玉木代表と古川国対委員長だとされる。
国民民主と立憲民主党の支持団体・連合の芳野会長も、麻生副総裁と会食したり、自民党本部で講演したり、与党と急接近。岸田首相が5日、連合の新年交歓会に2年連続で出席すると、「非常に光栄」とハシャいでいた。
いよいよ次の内閣改造で連立入りとの機運もあったのだが、後藤田氏のスタンドプレーのおかげで、ご破算になりそうだという。
今回、衆院比例四国ブロック選出の後藤田氏が議員辞職したため、次点の瀬戸隆一元衆院議員が繰り上げ当選することになった。瀬戸氏の選挙区は香川2区で、玉木代表の対抗馬なのだ。2人の戦績は玉木代表が4選連勝で圧倒するが、瀬戸氏の国政復帰はインパクトが大きい。連立構想が根底から崩れてしまうからだ。
「昨年からくすぶっている国民民主の連立入りは、春闘と連動しています。政権側は民間労組を巻き込んでベースアップを図りたい。そこで国民民主と連立し、玉木代表が労働関連特命相で入閣という話が出てくるわけです。これは玉木氏の選挙区に自民党現職がいないことが前提でした。しかも、繰り上げ当選の瀬戸氏は麻生派です。連立に前向きだった麻生氏も、自派閥の子分を袖にするわけにはいかないでしょう。もっとも、自民党が欲しいのは連合であって国会議員ではない。もはや連立話に現実味はありません」(政治ジャーナリスト・角谷浩一氏)
連立推進派は後藤田氏をもっと大事にすべきだったかもしれない。