堺市職員、暴行目撃も通報せず 63歳男性死亡 区の対応検証へ

堺市中区深井水池町のマンションで2022年11月、住人の唐田健也さん(当時63歳)が遺体で見つかる事件があり、中区は10日、唐田さんが隣人から暴行されるのを職員が計3回目撃したにもかかわらず、警察に通報していなかったと明らかにした。記者会見した西川明尚区長は「結果として適切ではなかった」と釈明し、区の対応を検証する考えを示した。
区によると、唐田さんを担当していたケースワーカーらが22年10~11月の計3回、唐田さんが隣人から腹部を1回ずつ殴られるのを目撃した。2回は区役所内で起き、職員らが2人の間に体を入れて行為を止めたという。唐田さんに被害申告の意思はなかったといい、担当職員は「日常的ないざこざの一環」と判断。上司に報告せず、記録も残していなかった。
しかし、大阪府警が殺人事件として捜査する中で、唐田さんがこの3回を含め、計11回にわたり繰り返し暴行されていた疑いが浮上。隣室に住む無職、楠本大樹容疑者(32)を暴行の疑いで逮捕した。
また、楠本容疑者は唐田さんの親族を区役所に呼び出して現金約12万円を脅し取ったとする恐喝の疑いでも逮捕された。暴行については「じゃれ合う程度だった」と容疑を否認し、恐喝は「額面が違う」と供述しているという。
区によると、職員らは現金をやりとりする場にも同席し、支払った証明のため紙やペンなどを提供していた。楠本容疑者が大声で威圧する様子などはなく、職員は恐喝に当たると思わなかったという。
西川区長は「研修などを通して、犯罪への意識の醸成を図りたい」と述べた。【高良駿輔、洪香】