高齢になった犬などを介護する老犬ホーム「アニマルレストハウス」が和歌山県橋本市隅田町にオープンした。高齢の飼い主が老犬の世話に苦労するケースが増えており、施設は「愛犬との暮らしにストレスや不安を抱えている人たちの役に立てれば」と話している。(相間美菜子)
運営するのは大阪府河内長野市に本社を置く墓石会社「石駒」。2000年に橋本市の高台に動物用の霊園とドッグランを開設し、昨年11月、隣接する約3300平方メートルの敷地に木造平屋のアニマルレストハウスをオープンさせた。
マネジャーで小動物飼養販売管理士の資格をもつ吉田雅子さん(37)は「施設には約40匹分の寝室のほか、犬たちがそれぞれの状態に応じて気持ちよく過ごせるよう、リビングや庭もあります」と話す。
ハウスでは従業員が24時間体制で見守り、介護やトリミング、運動などを行う。持病をもつ犬のため、獣医師が定期的に健康チェックも行う予定だという。早くも「入院しなければならなくなった。どうしたらいいか」「犬が病気を患った」などの相談が寄せられ、見学者が訪れているという。
吉田さんが老犬ホームを開くことを考え始めたのは、5年ほど前のことだ。当時飼っていた愛犬が寝たきりになり、吉田さんは自宅から犬を仕事場に連れてきて介護をしながら最期まで寄り添った。吉田さんは「私は職業柄、そうすることができたが、仕事場にペットを連れて行けない人や体力が落ちた一人暮らしの高齢者は、愛犬のことが心配でたまらないだろうと思った」という。考えた末、「誰もが安心して預けられる場所を作りたい」と会社に提案してオープンにこぎつけた。
ペットフード協会(東京都)によると、犬の平均寿命は2010年には13・87歳だったが、22年には14・76歳に延びた。医療の発達などにより、人間で言えば3~5歳長生きになっている。年を取ると夜鳴きや
徘徊
(はいかい)がみられることもあり、足腰が弱ればトイレの介助や食事の世話も必要になる。吉田さんは「家族の一員として愛情を注いでいる人ほど、『自分で面倒をみなくちゃ』と思い詰めがち。ここではみとりまで行っているので、前向きに施設を利用してほしい」と話す。
利用は月11万円(税込み)からで、一時預かりもしている。問い合わせは同施設(0736・26・7521)。
開設増、安全性の確認を
一般社団法人「老犬ホーム協会」(熊本県菊池市)によると、ペットブームや飼い主の高齢化に伴い老犬ホームは徐々に増加し、現在、60団体ほどが運営しているとみられるという。
環境省によると老犬ホームを運営するには動物愛護管理法の「第1種動物取扱業」の申請を都道府県知事に行う必要がある。2019年以降の法改正で業者には寝床などのケージの大きさや運動スペースの確保などが定められたものの「老犬ホーム」の明確な定義はないという。
同法人の担当者は「スタッフが犬の病気のことを何も知らなかったり、飼育環境が劣悪だったりすることもあるので注意が必要。トラブルを避けるためにも、自分の目で見て、大切な愛犬を預けられる安心・安全な施設か確認してほしい」と話している。