「第8波」の新型コロナウイルス感染が全国で拡大している。人の動きが増えた年末年始を経て感染が広がったとみられ、九州地方と山口県では1月に入って1日当たりの新規感染者数が「第7波」を超える県が相次いだ。福岡県では新型コロナによる入院患者が過去最多となり、医療現場からは病床の逼迫(ひっぱく)を訴える声が上がっている。
「すでに確保病床数を超えている」。福岡大学病院の石倉宏恭・救命救急センター長は6日の取材にそう明かした。病院では同日時点で新型コロナ用の確保病床は22床だったが、それ以外の病床も使って患者26人が入院。重症病床は6床中5床が埋まっていた。その後、病床は増やしたが、石倉センター長は「マンパワーには限界がある」と漏らす。コロナ病床ではスタッフが慌ただしく動く。看護師の女性はN95マスクを長時間着けるため鼻を保護するテープが欠かせなくなったといい、「もうクタクタです」と疲れた顔を見せた。
九州・山口では1月、佐賀▽熊本▽大分▽宮崎▽鹿児島▽山口――の6県で1日当たりの新規感染者数が第7波を超えて過去最多を更新した。福岡県も6日に1万4859人となり、過去最多の1万5723人(2022年8月、県発表分)に迫っている。
福岡県内の新型コロナによる入院者数は既に過去最多に達している。22年12月末に第7波のピークだった3771人を超え、1月9日には4625人になった。感染者数に先んじて入院者数が過去最多となった背景について、福岡県の担当者は「実際の感染者数が、報告されているより多い可能性がある」とみる。
福岡市医師会の平田泰彦会長は、自身が院長を務めるクリニックの状況も踏まえ、「年末年始に感染した患者が多く、特に高齢の感染者が増えた」と指摘する。平田会長によると、現在流行しているオミクロン株は重症化しにくいが、感染した高齢者が基礎疾患を悪化させて死亡するケースが目立つといい、「感染者数が増えるほど、入院や死亡につながるケースが増える」と警鐘を鳴らす。
懸念されていた季節性インフルエンザとの同時流行も年が明けて現実となっている。定点医療機関当たりの患者報告数は、九州・沖縄・山口の9県全てで流行開始の目安の「1」を超え、沖縄、宮崎、佐賀の3県では注意報レベルの基準「10」も超えた。福岡県では新学期が始まったばかりの学校で学級閉鎖が相次いでいる。
医療の逼迫により、救急車の到着後も搬送先がすぐに決まらない「救急搬送困難事案」も増加。総務省消防庁によると、8日までの1週間に全国の主な52消防で7558件に上り、過去最多を更新した。平田会長は「医療体制を守るためにも改めて感染対策を徹底してほしい」と呼びかけている。【平川昌範】