皇居で「歌会始の儀」 天皇・皇后両陛下ら「友」の題で詠む

天皇、皇后両陛下は18日、皇居・宮殿「松の間」で行われた新春恒例の皇室行事「歌会始の儀」に臨まれた。今年の題は「友」。両陛下や皇族方の歌とともに、応募作から選ばれた10人の入選者らの歌が伝統的な発声と節回しで披露された。両陛下の長女愛子さまは学業の都合で出席を見送った。
儀式には、両陛下のほか秋篠宮さまら皇族方が出席した。昨年に続き、新型コロナウイルス感染防止対策を講じて行われ、歌の読み上げ役はマスクを着用し、発声者は向き合わないように横並びに座った。
天皇陛下は、2021年に和歌山県で開催された国民文化祭にオンラインで出席した際の高校生との交流を詠んだ。コロナ禍でも友達と楽器を演奏する喜びを語る姿をうれしく思うとともに、日常の生活が戻ることを願う気持ちを込めた。
皇后雅子さまは、皇室で過ごしたこれまでの日々を温かく見守ってくれた友人たちへの感謝の気持ちを詠んだ。両陛下は今年6月で結婚30年を迎える。愛子さまは昨年の秋、モミジの葉に覆われた道を散策した際、かつてモミジを踏みしめながら一緒に歩いた友人との帰り道を思い出し、なつかしく思う気持ちを歌にした。
入選者は儀式の後、両陛下と面会した。面会後に記者会見に応じた相川澄子さん(61)=新潟県上越市=は、亡くなった母親が長年歌を作り続け、歌会始の儀に参加することが夢だったと説明。母親の写真とともに儀式に臨んだという。「(入選後)母と一緒にこの場所に来られると毎日思って、今日まで過ごしてまいりました」と涙ぐんだ。今回最年少で選ばれた小宮山碧生さん(14)=山梨県北杜市=は、友人がつけたあだ名について詠んだ。天皇陛下から、中学生の頃に盆栽が趣味だったことで友人から「じい」というあだ名で呼ばれていたことを明かされたといい、「天皇陛下もあだ名があるんだなあと親近感がわきました」と話していた。【井川加菜美】
天皇陛下
コロナ禍に友と楽器を奏でうる喜び語る生徒らの笑み
皇后雅子さま
皇室に君と歩みし半生を見守りくれし親しき友ら
秋篠宮さま
彼方此方(をちこち)を友らと共に行巡(ゆきめぐ)り聞き初(そ)めしことに喜びありぬ
秋篠宮妃紀子さま
春楡(はるにれ)の卓の木目を囲みつつ友らと語る旅の思ひ出
天皇、皇后両陛下の長女愛子さま
もみぢ葉の散り敷く道を歩みきて浮かぶ横顔友との家路
秋篠宮家の次女佳子さま
卒業式に友と撮りたる記念写真裏に書かれし想ひは今に
常陸宮妃華子さま
友よりの封書に貼られし海外の風土の切手をルーペに見入る
寛仁親王妃信子さま
老犬を悼(いた)む思ひが友からの賜(た)びし子犬の声(こゑ)に救はる
三笠宮家の彬子さま
器からこぼれてしまつた言の葉を静かにつむぐ友の横顔
高円宮妃久子さま
紅葉(もみぢ)する木より聞こゆる鳥のこゑ黒姫の森を友と歩めば
高円宮家の長女承子さま
厳かに巫女の舞ひたる倭舞ひ外つ国の友と我ながめをり
入選者(年齢順)
岡山県 藤井正子さん(73)
温もりの残る手袋渡されて君は友より夫(をつと)となりぬ
熊本県 三浦清美さん(63)
卒論は梶井だつたね君だけが四十二歳(しじふにさい)のままなる友よ
東京都 久和鏡子さん(62)
キスゲ咲く尾瀬の木道友の背のリズムで歩くすこし離れて
新潟県 相川澄子さん(61)
友だちはゐないんだよと言ふ君の瞳の中にわたしを探す
神奈川県 岩田真治さん(55)
つくるでもできるでもなくそこにゐたあなたをわたしは友とよんでる
茨城県 芳山三喜雄さん(50)
ともだちを友人と呼ぶやうになり子は就活をほどなく終へる
島根県 松友香さん(40)
「母さんも友だちできた?」と小一の吾子(あこ)に問はれし仕事の初日
京都府 丹羽紗矢香さん(36)
友といふ言葉を知らぬ一歳が泣いてゐる子の頭を撫(な)でる
東京都 吉田直子さん(26)
みづいろの絵の具ばかりを借りにきた友の見てゐた空を知りたい
山梨県 小宮山碧生さん(14)
友の呼ぶ僕のあだ名はわるくない他のやつには呼ばせないけど
召人
小島ゆかりさん
旧友のごとくなつかしあかねさす夕陽の丘に犬とゐる人
選者
三枝昂之さん
月蝕ののちの望月くまもなき地上にわれが友垣がゐる
永田和宏さん
悪友と呼びたき友のいくたりを思ひ浮かべてゐる月の食
今野寿美さん
「みづの上」につらつらしるす一葉の友といへるもなくとぞあるを
内藤明さん
海越えて柔らかき声まだ逢はぬ友といつしか卓を囲まむ