中国が、日本を含めた世界53カ国に「非公式警察署」の拠点を設置していたとされる問題で、新たな情報が入ってきた。スペインのNGO(非政府組織)が報告した東京・秋葉原など2カ所以外に、福岡県内にも拠点があるというのだ。中国共産党の地方組織が自ら発信していた。岸田文雄首相は先週末の日米首脳会談で、中国の覇権拡大を視野に同盟深化を打ち出したが、中国による主権侵害疑惑にどう対処するのか。産経新聞論説副委員長、佐々木類氏が最新情報に切り込んだ。
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中国の人権問題を監視するスペインの人権NGO「セーフガード・ディフェンダーズ」が昨年9月に公表した報告書で、中国の「非公式警察署」の存在が明らかになった。
報告書によると、非公式警察署は海外に住む反体制的人物の監視や追跡、本国に強制帰国させる「キツネ狩り」作戦を展開していた。対外的な世論工作を担う中国共産党の「中央統一戦線工作部」とも関連しているという。
事実なら、中国は各国の主権や法制度を無視し、無断で治安・警察活動をしていたことになる。
そんな組織が、福岡県にも存在していた。
セーフガード・ディフェンダーズの報告を待つまでもなく、何と中国当局が内外向けに堂々と発信していたのだから、その感覚には驚く。
2022年5月15日付の中国共産党江蘇省委員会新聞(電子版)によると、「南通市、警察と海外華僑の共同勤務のための10の措置を導入」との見出しで、国内外の南通市公安(警察)と、海外在住の中国人である華僑の「連携サービス」を改善するとあった。
南通市は、上海市に隣接する人口約770万人の巨大都市だ。この記事が意味するのは、江蘇省の中核都市である南通市の党委員会が、北京市の党中央とは別に、福岡県に非公式警察署を設置していたことだ。
秋葉原の非公式警察署は、福建省の公安施設とされる。中国が地方組織に分担させるかたちで、日本各地に非公式警察の網をかけようとしている疑いすらある。
「連携サービス」について記事は、学校やビジネス、車両管理、各種証明書の取り扱いなどを行うと説明していた。
見過ごせないのは、「暴力犯罪、サイバー犯罪などと戦うための公安機関の役割を果たす。海外での法執行、警察連絡官やビザ審査官による調査」を行うとしている点だ。
また、「南通市の非公式警察署が2016年2月に設立されて以来、120件以上の事件処理に参加し、帰国を説得された80人以上の犯罪容疑者を逮捕し、1500件以上の警告を発した」と成果を誇示している。