大阪市淀川区の2階建て住宅で2022年4月、階下の弁当店で働くベトナム国籍の女性(当時31歳)が殺害された事件で、強盗殺人や死体遺棄などの罪に問われた住人の元トラック運転手、山口利家(としや)被告(60)の裁判員裁判の初公判が26日、大阪地裁(中川綾子裁判長)であった。被告は「最初から殺す目的やお金を奪う目的で誘っていない」と述べ、起訴内容のうち強盗殺人罪に限って否認した。
弁護側は「被告は金を借りようとした。被害者に大声を上げられたので首に腕を回したら動かなくなってしまった」と主張。傷害致死と窃盗罪の適用を求めており、強盗殺人罪が成立するかどうかが争点になる。公判は計4回予定され、判決日は2月3日に指定されている。
起訴状などによると、山口被告は22年4月3日朝、出勤したベトナム国籍のヴォ・ティ・レ・クインさんに「店長にも言ってあるから、貴重品を持ってきて」と声をかけて自宅に誘い込み、背後から首を絞めて殺害。手提げかばんにあった現金約2万6000円を奪ったほか、布団の圧縮袋に包んだ遺体を室内に隠したとしている。
検察側は冒頭陳述で、山口被告は給料が減ったため生活に困窮し、21年12月ごろから家賃の滞納が始まったと指摘。「大家から退去を求められ、事件直前の所持金は100円未満だった」としたうえで、事件当日はクインさんに抵抗されたことから殺害や金品の強奪を決意したとした。
夫「遺族に謝って」
被害者参加制度を利用して公判に参加した夫のファン・タン・ユィさん(36)は大阪市内で記者会見し、「被告は反省していると思っていたが、なるべく罪が軽くなるように話していて許せなかった。(遺族に)謝ってほしい」と憤った。
クインさんはユィさんとの結婚をきっかけに16年に来日。日本語を学ぶ大学院への進学を目指し、学費を工面するため弁当店で働いていた。
クインさんは7人きょうだいの末っ子。ベトナムから駆け付けた兄のヴォ・タン・チュンさん(44)も会見に同席し、「親孝行な子で、家族全員にかわいがられていた。母は毎日線香をあげて悲しんでいる」と涙を拭った。【安元久美子、山本康介】