中国産のソーセージなどを日本に不正に輸入していたとして1月25日に中国籍の女が逮捕された。この容疑者が経営し『違法な肉』を販売していたとされる店を潜入取材した。
中国産加工肉を不正輸入した疑いで女を逮捕…規制の背景に「アフリカ豚熱」
1月25日、家畜伝染病予防法違反の疑いで逮捕された中国籍の郭艶紅容疑者(50)。警察によると、郭容疑者は去年10月~11月、3回にわたり中国から鶏肉のソーセージなど肉の加工品約11.5kgを不正に輸入した疑いが持たれていて、これまでに30回以上も検疫所から警告を受けていたという。
押収された加工品に記載された産地には「成都市」や「江西省」など中国の地名が記載されていた。しかし現在、中国産の肉や加工品を輸入することは原則禁止されている。
背景にあるのは豚の伝染病「アフリカ豚熱」。豚やイノシシが発症すれば致死率が極めて高い病気だ。中国など約70の国や地域で感染が確認されていて、日本は現在、外国産の肉の輸入を厳しく規制している。
容疑者が経営する店に潜入…次々見つかる「産地の書かれていない肉」
1月20日、取材班は郭容疑者が経営していたとされる大阪市内の中国食料品店に潜入した。店で対応したのは郭艶紅容疑者本人だった。店内には中国産の調味料や菓子などがずらりと並んでいる。
中には気になる商品もあった。
(記者)「とりの足?何の表記もないですね」
大量に陳列された産地の書かれていない肉。郭容疑者にその生産地を尋ねると次のように話した。
(記者)「どこ産ですか?」 (郭容疑者)「全部日本産です」 (記者)「日本のどこから?」 (郭容疑者)「どこから…、浪速区の方の仕入れ先の肉専門店」 (記者)「これはイノシシ?」 (郭容疑者)「これはブタアシ」 (記者)「これも日本で作った?」 (郭容疑者)「はい」 (記者)「まさか密輸じゃないですよね?禁止のものかと思いました」 (郭容疑者)「じゃないんです」
郭容疑者は日本産だと話すが、その後も質問を続けると…。
(郭容疑者)「昔はちょっとだけあったけど、その時は輸入禁止とみんな知らないからたまに入ってきていたけど、いっぱいはなかった」 (記者)「日本産って書いていますもんね」 (郭容疑者)「はい」
以前は中国産の肉を輸入していたが『今はすべて国産』と主張した。
さらに話を続けると次のように話した。
(記者)「ソーセージはあります?」 (郭容疑者)「こっちに日本産のソーセージがあるけど、中国産のものもちょっとあります」 (記者)「中国産のものを見たい」 (郭容疑者)「あー、なかった。日本産のソーセージ、これしかないです」
「中国産がある」と答えた直後に「なかった」と答えを翻した。警察によると、郭容疑者はこの店で中国産の豚肉ソーセージなどを販売していたという。
検疫所では検査を強化…検疫探知犬が「肉のにおい」をかぎ分ける
関西空港の国際郵便局では、海外からの違法な肉の持ち込みが絶えず、海外からの郵便物に目を光らせている。専門の訓練を受けた「検疫探知犬」のスノー号(2歳)が肉のにおいをかぎ分けて職員に合図を送る。
(農林水産省動物検疫所・関西空港支所 大石明子さん) 「今座ったのは、(肉などの)検査対象品が入っているよって、犬がハンドラーに知らせました」
その郵便物を開けてみると、入っていたのは鶏肉の加工品。約30分の検査で牛肉や豚肉の加工品など3点が次々と見つかった。
(農林水産省動物検疫所・関西空港支所 大石明子さん) 「アフリカ豚熱はワクチンも治療方法もないために、なんとしても日本に入れさせない、食い止めるという必要があり、今動物検疫所では最大限の(検査の)強化を行っています」
精肉専門業者『感染した場合は殺処分。農家もかなり苦しむ』
精肉の専門業者は「違法な輸入が相次げば国産豚にも大きな影響が出かねない」と危機感を募らせている。
(大阪府吹田市にある精肉店の取締役) 「感染した場合は殺処分。苦労して育てた豚や鳥が次の日には全て殺されてしまうという状況は、農家さんもかなり苦しんでいますし。重大どころか、農業を続けていくかいかないかの選択肢を迫られると思います。(違法輸入は)やめてほしいですね」
度重なる警告を無視して密輸を続けていた郭容疑者は「私は注文していない」と容疑を否認しているという。