国内初の経口中絶薬、専門部会が承認了承 妊娠9週までが対象

厚生労働省の専門部会は27日、人工妊娠中絶のための飲み薬「メフィーゴパック」について、製造販売の承認を了承した。社会的関心が高い薬のため、厚労省はパブリックコメント(意見公募)を実施し、部会の上部組織である薬事分科会に3月にも諮った上で承認可否を判断する。承認されれば国内初の経口中絶薬となり、手術以外の選択肢が増えることになる。
メフィーゴパックは英製薬会社「ラインファーマ」が2021年12月、厚労省に製造販売の承認を申請していた。妊娠9週までの初期中絶が対象。妊娠の継続に必要な黄体ホルモンの作用を抑える「ミフェプリストン」を1錠飲み、36~48時間後に子宮を収縮させる「ミソプロストール」4錠を服用する。
部会では薬が承認された場合は、中絶処置できる資格がある医師に限って使用することや、適切な使用態勢が整うまでは入院が可能な医療機関で処方することが条件として示された。医療機関への納品数や使用実績を厳格に管理する。厚労省は2月の1カ月間、こうした条件や承認の妥当性について意見公募して最終判断する。
国内の臨床試験では、中絶を希望する妊婦120人のうち、93・3%が24時間以内に中絶した。6割に下腹部痛や嘔吐(おうと)などの症状がみられたが、ほとんどが軽症か中等症だった。
経口中絶薬は海外では70以上の国と地域で承認され、世界保健機関(WHO)は安全な方法として推奨している。日本では現在、初期中絶を外科手術によって実施しているが、手術に比べ心身の負担軽減につながるとして人権団体や医療関係者から飲み薬の実用化を求める声が上がっていた。【金秀蓮】